夜に入りて 雨となりにつ初春の のどけさに昏て歌集ひもとく
子供等に 凧あげやると春の日を 大屋根にのぼり夫は楽しげ
このお歌は、昭和七年正月、二代様がお詠みになられたものです。
新年にはいつも、二代様は明主様をお誘いになら れ、ご一家団欒の春をお楽しみになられました。そして、お二方も時には童心に帰られ、お子さま方とともにお遊びに輿ぜられたのです。
そして明主様は、新年に必ず凧をお揚げになりました。それで年の暮近くになると、われわれは凧と糸を買うため、銀座へお使いに行くのが通例でした。凧揚げは、明主様ご自身お好きであったようですし、またお上手でもあられました。それで平常の日でも、ご気分転換のためでしょうか、お暇の時、お子さまの相手に凧揚げに興ぜられることもありました。
松風荘(大森八景園)のお庭は、あまり広くはなく、樹木もあったので、たいていは二階からお揚げになり、時には屋根へおぷりになり、われわれもよく相手になったのですが、風向きの変化に応じて辛抱強く操作され、揚がった時は、二代様もお子さま方とともに歓声を上げられました。そして明主様もまた、それがとてもご満足そうでした。