『神仏に頼むより人間に頼め』

 昭和二十一年一月十八日、初めて明主様に御面会いただいた折、忘れられないお言葉をいただきました。

 それはどういうことかと申しますと、私は、山口県の天台宗南明寺の寺憎でしたが、二十才の春から四年間、結核に罹り、あらゆる医療を試みましたが治らず、自暴自棄になっておりました。医薬に頼っても治らないため、やはり神仏に縋る以外に方法はないと、同寺のご本尊、行基作の聖観世音菩薩に願をかけておりました。それは呪文を日に二万べんお唱えするのですが、一週間断食をしながら続けました。そして唱えながらブッ倒れることも何度かありましたが、そんな難行苦行でも、少しもお蔭をいただくことが出来ませんでした。

 そんなさなかに、明主様に御面会いただいたのですが、明主様は何気なくこうおっしゃいました。『神仏に直接頼むよりか、人間に頼みなさい……』と。

 百雷一時に私の腹中に落ちると申しますか、国宝の観音像の前でひたすら祈り、断食までやって来たのに、なんの効果もなかったことをチャンとお見通しになられて、『神仏に直接頼むよりか、人間に頼みなさい』と、実に明快な救いの方向づけをして下さり、たったひと言で、その悩みをご解決なさった明主様のご神格の現われを、ハッキリとわからしていただけました。