叱るとまずくなるから

 明主様のお料理を作る時は、常に気が抜けませんでした。他のことを考えながら、うわついた気持で包丁を握るなどということは出来ません。それだけに、出来るだけ気をくばりながら御奉仕したせいか、料理でご注意を受けることもなかったと思います。

 もっとも明主様は、料理人を叱ると、食事に反映してくるとお思いになっていらしたからでしょうか。いつか明主様は、『江戸の仇を長崎でとられちゃ困るからなあ』と笑っておっしゃったこともあります。他の人なら、ガンと叱られるようなことをした場合でも、私は叱られませんでした。