明主様はある日、つくづく仰せられました。
『いまの世の中の人間は、実に嘘をよく言う。アメリカなどでは少ないようだが、特に日本人は、ほとんど嘘つきといってよい。毎日訪問に来る客でも、まったく嘘をつかぬ人は少ない。ひところは、私をごまかそうとする者が毎日来たものである。ひどいのは、私をまるでお人好しのお大名のようになめ切って、うまくハメ込もうとして、まことしやかに見え透いた嘘を並べるのであきれてしまう。私にはどんなうまい嘘でも、わかり過ぎるくらい判るんで、いつもほどよくあしらってはポカしてしまうので、しまいにあきらめてしまうが、寸鉄で“あまくない者を甘く見るあまさ”と言ったのはそれである。そういう人間は嘘をつくのが習性になっていて、平気で嘘を言うし、また、自分で嘘を言っていることさえ気がついていない。中には自分の嘘に陶酔している者もある。私の部下の中でも、よく、ありのまま答えれば、すぐに出来るはずの返事を、言い渋っていることがあるが、これは“どういうふうにごまかせば、叱られずにすむか”と言いわけを考えているからである。私はそういう場合よく言ってやる。“嘘を言うのはやめよ。お前たちにごまかされるようで、世界人類の救済が出来ると思うか”と』