この間のアメリカの新聞記者のグリリという人と、もう一人観光事業に関係のある新聞記者との間で、今度熱海の地上天国ができたら、観光の番組に入れることになっているという話です。東のほうはいままで日光に鎌倉に箱根で、熱海は入っていなかったのです。今度は熱海を入れるようになったとかいう話です。それからそのときの話に、アメリカに行った人はナイアガラの瀑布はぜひ見なければならないことになっているそうです。それでこれからは「日本に来ればどうしても熱海の地上天国を見なければならないようなことになる。岡田さんはそれほどとは思っていないだろうが、いずれそうなる」ということを言っていたそうです。私は実はそう思っていたのです。最初からアメリカの人がアッとするような物を造るからと言ってました。将来あそこを維持するのに、各国の大使公使を賛助員みたいなものにして、要するに平和国家が共同して永久に維持するという話もあるようなことを言っていたそうです。すっかりできあがると断然世界的になるのは間違いないです。まだまだいま見たどころではない、もっとウンと規模が大きくなってすばらしくなるつもりです。ですから外国は無論のこと、日本でもどれほど驚くか分からないと思ってます。無論日本始まって以来ない物ができ、計画もそうです。それだけで、とにかく救世教というものを、要するに見直さなければならないことは、たしかです。いままで見ていた、ふつうの新宗教に少し毛が生えたぐらいに見ていたのが、そんなチョロコイ見方ではいけない、これはたいへんなものだというように思わないわけにはゆかないようになると思います。いずれ来年は美術館を造ることになりますが、美術館の建築の様式は、近代的のコルビュジェ式ですが、それを非常に品位を持った、会館よりももっと上品な、そうしてごく新しいところにいくらかクラシック的の感じを折り込んだような物にしようと思ってます。そこに支那風のところと、日本の奈良朝時代のような味も出して、ちょっと想像のつかないような物ができるつもりです。つまり世界中の良いところをとるというわけです。そこにもっていって美術館の周囲は天国浄土とでもいったような、そういう気分を出そうと思ってます。これは話では……話のほうがしにくいです。実地を見てもらうよりしようがないです。だいたい敷地だけは今年いっぱいにできるでしょう。敷地だけ見てもちょっと違います。非常に大きな規模に見えるのです。会館や展望台あたりを見るよりか、ずっと大きな規模に見えます。いまでさえそのくらいにアメリカ人が見ているのですから……。そのもう一人のなんとかいう人は、あそこを三度見に来たそうですが、非常に注目しているわけです。日本の新聞記者などで、わざわざ一度でも見に来る人はないでしょう。とにかくできたらたいへんなことになります。
それから熱海の観光道路はいよいよ始めたようですが、最初熱海と湯河原間です。そろそろ着手しかけているようです。熱海、湯河原間の海側にドライブ・ウェーのようなものを作るのですが、いま湯河原の海岸の入口に新しい道路ができてますが、その延長です。カーブがなくなってほとんど直線になりますから非常に早いです。いま熱海から湯河原までは、どうしても三〇分はかかりますから、この半分ぐらいになるでしょう。それがすんでから湯河原、小田原間です。結局いまは小田原まで一時間かかりますが、これも半分ですむわけです。それから十国峠も良くなりますが、有料道路から熱海までを舗装するというだけは決まってますが、カーブを直すということはまだ決まらないようです。これもいずれなんとかしたいと思ってます。そうすると、将来のことですが、元箱根から強羅に行くのも、反対のほうから行くと、もっと短く良い道路ができるのです。それで結局私の家から強羅まで、道路さえやれば三〇分で行けないことはないのです。そうなると箱根、熱海というものがいっそう発展するわけです。無論それは神様のほうがそういう計画をしたに違いないです。箱根、熱海を三〇分で交通できるようになると、それを一緒にした一つの地上天国的のものが大規模にできるわけです。その時分になると、十国峠がまたすばらしいことになるに違いないです。つまり箱根が経で熱海は経で、それを結ぶ所が十国峠ですから、それで十国という字を使ってあるわけです。だんだんそういうような具合に変わってゆくわけです。結局は私がやるようになるでしょう。だからいま熱海の地上天国というのは、ごく最初のホンの序の口です。いずれこれができると、アメリカあたりが、自分の国にもこういう物をこしらえたいと言うに決まってますから、そうしたら私が設計してやろうと思ってます。ただ、行くのは面倒くさいから、図面で言いつけるだけで良いと思います。なにも現場を見るほどのこともいらないです。その前に無論ハワイにできましょう。
話はこのくらいにして、質問のほうをどうぞ。