それから御神業のスピード……早さがすばらしいものです。一例として、今年の三月に三越で浮世絵展覧会をやります。これを企画したのは毎日新聞社ですから、毎日新聞社が大いに骨折るわけです。それは三越の七階の大ホールで、昔の特別食堂です。そこは一五〇坪あって、そこを提供することになったのです。いままでお寺の美術展はずいぶんやりましたが、他の美術館で出張してやるということはないから、どうだろうと思っていたが、最近になって決まったようです。ところが、それだけに知られたということです。浮世絵では日本で一番なのです。特に肉筆を主にしてやるつもりです。版画のほうは、いままでほうぼうで展覧会をやりましたが、肉筆のほうはなかったです。ところが私は将来、肉筆が大いに認められるときが来ると思って、その時分……と言っても、つい二、三年このかたですが、他の人は肉筆に重きをおかないために良い物を安く買えたのです。そこで私はできるだけ買ったのです。その期間は一年とはかかりませんでした。もっともこれは神様がやっているのですから、バタバタと集まってしまったのです。博物館の人に聞いてみると、いまは私のは日本一だそうです。半年ぐらいで日本一と言われるぐらいに蒐集するということは実に早いです。まったく人間業ではないです。最近の話ですが、支那陶器のほうは道具屋がさっぱり持ってこないので、「どうした」と聞いたら、「みんなこちらに来てしまった」と言うのです。実際世の中は小さなものです。おまけに支那陶器というのは英、米でかなり買いましたから、日本にあるのは、いままで大名や財閥の倉に蔵<しま>い込んであったのが、終戦のために一時バタバタと出てきた、そこを私のほうで買ってしまったので、後はないというわけです。これらも実際神様の手際<てぎわ>のよい、うまいところに感心させられます。他にもそういうことはいろいろありますが、いま言ったような外国、日本も奈良朝は一〇〇〇年以上前ですが、京都の文化でも、平安朝が多いですから八〇〇年くらい前です。それがこっちはわずか一〇年でできてしまうというスピードです。それから美術品が集まったスピードです。
それから御守りですが、「光」の文字を書くスピードが近ごろは早くなって、六秒で一枚書きます。それを懐に入れて、何千人何万人という人の病気を治せるのですから、このスピードもぜんぜん想像もつかないくらいです。