昭和二十八年十二月二十七日(3)

▽前節から続く▽

 いま話したように、つまり人間の体の中が一番汚いのです。汚い物もいろいろあります。糞尿もずいぶん汚いですが、血膿のほうがもういっそう汚いです。万物の霊長たる人間が一番汚いのです。だからいろいろな寄生虫が腹の中にわくというのはあたりまえです。だいたい人間の体は生きているので、腐っているのではないのですから、それに虫がわくということは、いかに汚いかということが分かります。しかもその虫の種類がいろいろあります。真田虫という馬鹿げて大きいのもあるし、小さいのもいろいろあります。一番小さいのは回虫ですが、これはオソバみたいな、奇怪な形のやつで、たくさんわく人のは、ゾロゾロと、それこそソバみたいに重なり合っているのです。それが人間の腹にわくということは、実に不思議なくらいです。それでごく細かい目に見えないものが結核菌ですが、結核菌と言っても虫の小さいのですから、わいたに決まっているのです。それは伝染もしますが、それは汚いから伝染するのです。ちょうど便所の蛆《うじ》みたいなもので、これは糞尿のない原ッパに出せばすぐに死んでしまいます。それが、生きているということは、やっぱりそこに自分が生活し得るだけの材料があるからです。ですから人間は、ともかくいばることをやめるのです。つまり、一口に言えば虫の巣です。巣だけならよいが、自分の体でそれを作っているのですから、実に、なんという汚い動物であるかということです。ですから私は真善美の「美」の世界にするのは、まず人間の体の中からと思ってます。それをみんな知らないからいばっているのですが、まずこれを知らせるのが肝腎なことだと思ってます。そのくせ今日はいろんな虫というものが発見されて、ごく知りぬいているとしているのです。ではどういうわけで、体の中にそういう虫がわくかということに、気がつかないのです。ごく低級と言いますか、単純なものです。もっとも、どういうわけで腹の中に虫がわくかということを考えても、気がつかないから、そこでそういうものだと諦めているだけのことです。そうすると、それに気がつかないという、つまり愚か……暗愚《あんぐ》ということも不思議ですし、われわれから見ると、いまの文化人だとかヤレ教育があるとか学問があるとか言っても、肝腎なことがまるっきり暗愚です。だからこの間のように 「超愚」というのは、どうしてもそういう言葉が出るのです。それで浄霊よりほかにないのですから、結核が治るということは、浄霊によって虫が殺される……というのは結果であって、虫が住むような条件がなくなるわけで、きれいになるのです。わく条件がなくなるとともに、虫がそこに生存する条件もなくなるというわけだから、病気が治るということは分かりきった話です。ところが医学のほうで治すのは、その条件を医学が作るのだからして、逆になるわけです。昨日か今日の新聞に出てましたが、日本はいままで癌は西洋よりか少ないとされていたが、西洋と違わないというのです。いままで、いろいろ死亡者を研究してみると、癌の死亡者というのは、数において三分の一くらい日本が少ないとされていたのですが、そうでない、いろんな病気で死んだのを調べてみると三分の一増えたというのです。それでは外国と同じということになります。それでは癌というのはなにかというと、結局薬毒なのです。ですから薬毒癌と言ってもよいです。それから薬毒のほかに肉ですが、これは『アメリカを救う』の本に書いてありますが、肉の毒です。これを消すために野菜というものがあるのです。ですから野菜の食べ方が少ないのです。少ないと肉の毒が余るので、そこに薬毒が混合するのです。ですから浄霊して薬毒がなくなるとともに肉の毒がなくなるのです。これはいつかも話しましたが、私は年々食欲が減っているので、おかしいと思って、前から鳩尾の所を見るとちょうど骨みたいなものがあるのです。それで私はここに骨みたいなものがあって、人よりも変わっているのかと思って、たいして気にも止めなかったが、しかしこれはおかしいと、これを浄霊してみると少しずつ溶けるのです。つまりこれは胃癌なのです。それで自分で寝るときにチョイチョイ浄霊していると、だんだん小さくなって、それにつれて食欲がだんだん増えてきて、去年からみるとちょうど倍になりました。そうしてみると癌というのは実に……これは痛くもなんともないのですが、ちょうど骨ぐらいの固さです。ですからこういう人が世間にはたくさんあるのだから、たいへんだと思いました。これはいつごろからあるかというと、私がチフスをやったときで、二八のときです。そのときに肺炎と間違えられて、肺炎の薬をたくさんのみました。この肺炎の前に胃が悪くて胃の薬をのんで、それから肺炎になって肺炎の薬をかなりのみました。それでチフスが治ってからは、食べてもある程度までゆくとピタッと止まってしまうので、おかしいおかしいと思っていたら、いま言った結果なのです。それで、胃癌は減りました。いま三分の二ぐらい減りましたが、これが取れたらもっと食欲が増え、肥るわけです。寿命も一五年や二〇年延びるわけです。実に驚くべきものです。あなた方も、食欲が少し変だと思ったときには鳩尾を調べてみるとあります。これはたいていあるようです。大きい小さい、固い柔らかいはともかく、古いのは固いようです。それで私のは四〇年ぐらいの古くなったものです。だから薬毒というものは、そのくらい古くても決して減るものではないのです。ただ固くなるぐらいなものです。あんまり汚い話ばかりだから、少しきれいな話をしましょう。

▽次節に続く▽

「『御教え集』二十九号、岡田茂吉全集講話篇第十一巻p304~307」 昭和28年12月17日