▽前節から続く▽
それでこれはまだ、なにしろ未完成だから分からなかったのですが、ようやく会館の形だけはでき、これから展望台にかかりますが、さっき言ったとおりここは「水晶殿」《すいしようでん》とつけました。英国に水晶宮というガラスの家があるそうですが、「宮」ではあんまりおおげさ過ぎるのです。「ガラスの家」と言うと安ッポイですから、やっぱり「水晶」という名が一番よいですが、「水晶何々」と言っても、他に適当なのがないので「水晶殿」としましたが、「水晶殿」でも少しおおげさ過ぎますが、他にないのでそうしました。それで、この水晶殿ができ、美術館も箱根より大きさも倍以上あり、すべての点において無論世界一と言ってもさし支えないです。それで、外国の人などは、箱根でさえ、大きさはもっと大きいのがあるが、内容においては世界的レベルと少しも劣らない、ということを言っているくらいですから、今度熱海にできる美術館は世界一と言ってもさし支えないものです。それで、美術館と、それからいま言った水晶殿と、それだけでもとにかく日本の国の誇りというくらいに認めるだろうと思います。おそらく開闢《かいびやく》以来これだけのものを造った人はないし、計画した人もないのですから、そこで救世教に対する見方というものが、まるっきり違うだろうと思ってます。いまの泥だらけになっている所を信者さんが見て、それほどとは思わないでしょうが、できあがれば信者さんでも開いた口がすぼまらない、というように驚くだろうと思ってます。そういうようなわけで、あれだけのものが一〇年そこそこでできてしまうという、その早さ、すばらしさというものは驚くのみだろうと思います。そうして、なにしろ私が箱根、熱海に来たのが昭和一九年ですから、まだ一〇年にはなっていないので、来年で一〇年になります。そのときは、それこそ茫々《ぼうぼう》たるもので、最初箱根に買った神山荘は一六万円で買ったのですが、私が持っている金がやっと五、六万円だったのですが、一〇万円というものは、そのときの信者さんの有力な人が作った金なのです。それから熱海の東山荘を買って出てくるというようなわけで、いまのことを考えたら夢です。そういうようなわけで、仮に美術品にしろ、日本では一番とされてますが、浮世絵なども私があれだけは一年かからないうちに集まってしまったのです。これを道具屋が不思議だと言ってます。それで私は、これは神様が大いに集められたのだなと思って、私はただ神様の事務執行者みたいなものです。神様がほうぼうからいろいろ寄せてくる、それをただ取り扱っているだけのものです。その代わり神様のほうは楽はさせません。というのは、いろいろな良い物はたくさん来ますが、買う金には年中苦しんでいます。その代わりまた必ずキチキチとして、手も足も出ないようにはされないのです。そういうようで、浮世絵もわずかな間に集まって、いまは日本一になってます。来年の三月に三越で浮世絵の大展覧会をやりますが、これは毎日新聞社の企画です。それで、箱根美術館出張展覧会と言いますか、そこは適当な名前をつけるでしょうが、そういうような具合で、これもいままでお寺はずいぶんデパートに出しましたが、美術館として出すのは初めてです。これは大阪、九州などにも続いてやる計画です。その浮世絵が、そのくらいのわずかの間に認められるほど集まったということは、すばらしいものです。それで、浮世絵以外の美術品も、いろんな計画で、展覧会をやるというような考えも、毎日新聞社で考えているとかいう話を聞きましたが、無論そういうことになりましょう。
▽次節に続く▽