▽前節から続く▽
日本人が優秀だということについて書いてみました。
(御論文「日本の誇り」朗読)〔「著述篇」第一二巻一七七―一七八頁〕
二、三日前に瑞雲郷に行ってみました。たいてい見て知っているでしょうが、今度美術館ができる所に道路を作りました。これは非常に大勢の人が行くことになりますから、自動車と人間が一緒ではよほど広くなくてはならないと思って、いままでの道路より広くしたのです。いままでは二間半から三間でしたが、今度は三間半にしたのです。そうして割合に勾配が少ないから楽です。美術館を見て、それから展望台ですが、展望台のガラスの家は「水晶殿」《すいしょうでん》という名にしました。英国にガラスの家でできているので「水晶宮」というのがありますが、「宮」では名前が少しおおげさ過ぎます。「宮」と言うといくらか荘厳的過ぎますし、他につけようがないので「水晶殿」としました。「殿」でも少し大き過ぎますが、「水晶閣」も変だし、「水晶亭」「水晶庵」でもあまりに日本的過ぎますから、「水晶殿」としましたが、美術館を見てからそこに行くのに、どうも道路がややこしくて難しいので、植木屋も首をひねっていろいろしているのですが、私がそのつもりで行ってみると、すばらしい、ちょうど良い道路ができるようになっているのです。神様はチャンと行き届いているのです。それは割合に手数がかからないで、非常に簡単で、とても良い道路ができるのです。それは歩いて行くのですが、そういうようなわけで、神様のほうはチャンと準備をしてあるのです。それに気がつけばよいわけです。またその気がつくのも、時期に応じて気がつくのです。決して早過ぎて気がつくことはないのです。そのときになるとチャンと気がつくのです。おおよその大づかみは気がついてますが、本当に実際的に分かるのは、そのときにならなければならないのです。だから神様の仕事というものは非常におもしろいものです。ところが人間はそれを知らないからして、このくらいなことはもっと早く分かりそうなものだと思うのです。私もそう思うことがあります。ところが時機にならなければならないのです。つまり必要の時機です。早くも遅くもないという時機です。もっとも遅くては駄目ですが、早過ぎてもいけないのです。それで気がついてやるのですが、前からそういうように形ができているのです。それで私の前からの予定では、水晶殿ができると、写真入りで新聞やなにかがデカデカと宣伝してくれるでしょう。これはいままで世界にできたものではないから、実に珍しいものです。そうなると、そこに行ってみたいという人がたくさんできるでしょう。そこで日本中の人が一度は見ようということになります。美術館もすばらしいものができますが、特に水晶殿は、熱海を一望にし、相模湾、伊豆七島、それから房総のほうまで一目で見えますから、どうしても一度は行ってみたいというわけで、日本人の少なくとも三分の一や五分の一は、無論数年のうちに来るだろうと思います。それで八〇〇〇万の人口として、一割としても八〇〇万人ですが、一割ではきかないでしょう。三分の一として二、三千万はたしかに来ると思ってます。そういう予想で、水晶殿も予定より大きくしたのです。一度に一〇〇人ぐらいが入ってもゆったりできるように、椅子を一〇〇台用意するつもりです。そうしてそこに行くには梅林のほうを通らなくて、こっちから行けるようにしますから、非常に便利です。そうして大勢グルグルと順繰りに見てゆくような形にしました。そのために一人だいたい一〇〇円としましたが、とすると一〇〇〇万人来れば一〇億ですから、莫大な金が入ることになります。しかしこれから経営する所がたくさんあるのですから、一〇億でも足りないと思ってます。日本中でも、箱根ももっと拡張しなければならないし、熱海ももっと大きくしなければならないし、京都にも造らなければならないし、九州にも北海道にも造らなければならない、というように、各地に地上天国を造らなければならないのです。それからハワイにも造らなければならないし、将来はアメリカにも造るつもりです。それで、アメリカに造る前には、アメリカとの美術の交換もやるつもりです。美術の交換というのは、先方では日本の美術を非常に見たがっているのです。いままでアメリカに行った物は、仏教くさい堅い物ばかりです。もっと大衆向きな物はほとんど行ってないので、そういうことをやるつもりです。そうしてアメリカの美術館にあるヨーロッパの美術という物を、こっちに借りるというように、両方で交換をしようと思ってます。そこで熱海の美術館などはそういうこともやるようになるでしょう。そうすると、いま日本で見たがっているヨーロッパの油絵の名人の作品とか、彫刻という物を日本人が見られるというようになれば、いまの博物館にあるマチスとかピカソというアレッポチな物でなく、もっとすばらしい物を出品させるつもりです。なにしろ米国で最近買った、裸体画だったと思いますが、セザンヌのそうとう大きな物だそうですが、それをロックフェラーが、日本の金にして三億六〇〇〇万円で買ったのです。これは博物館の人でアメリカから帰ってきた人から聞いたのですからたしかです。そのくらいの物を出すかどうかは分かりませんが、とにかくそのくらいの物を持っているのですから、外国美術品と東洋美術品の交換をやらなければならないのです。それを将来こっちでやるのです。そういうことをやるには大いに金がいりますから、いま言う入場料などを大いに当てにしているわけです。
▽次節に続く▽