▽前節から続く▽
二、三日前にアメリカの女の新聞記者が来ましたが、その人の御亭主はNHKの外語放送をやっている人です。夫人は『ニッポン・タイムズ』という新聞の記者で……私のことも今度出すことになってますが……いろんな話の中で、アメリカ人には非常に金持ちができるというのですが、その金持ちの弁明をしているわけです。これは日本人はふだんから、アメリカの金のあるのを羨んでいるのを、ちょっと言い訳を言うかのように言ってましたが、ロックフェラー(三世で、いまは孫になっているそうですが、よく知っているらしいです)にしても、あんまり金ができすぎてしまって、もう金などはいらないと言っているそうです。だから頭は始終世界を平和にして、人類をみんな幸福にさせるということしか考えていないというのです。それでロックフェラーだけでなく、アメリカの大きな金持ちというのは、みんなそういう考えを持っているそうです。というのは、つまり非常に金が儲かる、金が溜まるような組織にもなっているし、日本みたいにそういう無駄とか、結果において不利益なことというのはアメリカ人は嫌いです。だから国が富んで、そのためにああいう、いま言ったように日本人が崇拝するような国になってしまったわけです。そこで私はそれに対して、かえって私のほうで言い訳を言ったのです。アメリカで金を集め、非常に富むということは、自分たちが贅沢したりいばったりするというためでなく、世界を平和にするということのためだ。それについては非常に金がいるから、アメリカで金を集めるということは、根本は正義感だ。それでアメリカくらい正義感が強い国はないので、それで私はアメリカを非常によいと思っている。とにかく世界の正義を維持しているのはアメリカなので、それにはやはり非常に物資もいります。たとえてみれば軍備です。だからアメリカが金を集めるという根本はそういう目的だからして、大いに集めて金持ちがたくさんできたほうが結構だと思う、と言ってやりました。私はふだんから思っているのは、もしかアメリカのあの富がなかったら、世界は共産主義になってしまいます。とにかく共産主義の根本は人類愛ではないので、世界を自分の支配下にして、そうして要するに世界封建……ロシア帝国を造って、そうして世界を自由自在にしようというので……そういった根本が悪ですから、それではいけないから、それを押さえるというのはアメリカの力です。朝鮮問題にしても、最初北鮮が南鮮を攻撃して釜山まで来たときに、もしアメリカが救わなかったら、もう、とうに朝鮮は北鮮のものになっていて、南北朝鮮を合併して、その後を中共が押さえ、その後をソ連が押さえているということになります。そうしてその次には日本にやってくるに決まってます。ですからもしあのときにアメリカが乗り出さなかったら、日本は中共のものになって、われわれは共産政策のもとに、ナッパ服のような物を揃って着ていなければならないのです。なにしろ中共の国民はみんなナッパ服です。それをとにかく中共を押さえて、こうやっていられるのはアメリカのお蔭です。それをアメリカのそれに反対して、怨むのではないが、怨ませるように煽動《せんどう》しているのです。社会党のように……。そうして軍備をさせないように一生懸命にやってますが、この軍備をさせないということは、いずれは中共やソ連が日本をやっつけるときに、日本に軍備があるとよけいな手数がかかるというわけで、ぜんぜんソ連のほうの味方です。そうして投票までするのがあるのです。ただ軍備をなくすれば亭主も伜《せがれ》も兵隊にとられない、安全だというわけなのですが、そこにちょっと気がつけば、なんでもないのです。そうすれば、ある程度はやはり軍備をしなければならないのです。いかに再軍備反対と言ったところで、そんなことにはかまわずドンドンやってゆきますが、これはやはり神様は邪には味方しないので、正のほうに味方するから、心配はありませんが、そういうようなわけで、なかなか簡単にはゆかないわけです。
▽次節に続く▽