昭和二十八年十一月十六日の御講話(1)

 自然栽培のことですが、いろいろの報告やいままでのやり方からみて、結論としては、この間じゅう言った、つまり天地返しが必要ですが、それだけでは少しまずいところがあるのです。というのは天地返しをしても、壁のようになっている肥毒の層が、やはり壁土が混るようなもので、肥料壁の土が混りますから、初年度ではそれが影響するのです。ですから天地返しをするとともに客土をできるだけするということが一番理想的です。これなら初年度から何割という増産になります。それで種に肥毒があるとやっぱりなんにもならないのです。よく農事試験場などで無肥料を試験してみて駄目だということは、種に肥毒があるからで、それを知らないからです。それと、肥毒の壁があるからして、ちょうど麻薬中毒の人間に麻薬を止めさせるようなもので、一時馬鹿になってしまうのです。そのために種も土も肥料をやらないと馬鹿みたいになるから、それで結果が悪い、それで無肥料は駄目だということになったのです。やっぱりいままで熱冷ましをのんでいたのが、止めると急に熱が高くなる。それは押さえつけていたものを離すからですが、それと同じ理屈です。その点を十分に分からせなければならないわけです。経験者は分かってますが、世間一般の農民などにその点を十分分からせるように話してやるのです。

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「『御教え集』二十八号、岡田茂吉全集講話篇第十一巻p239~240」 昭和28年11月16日