(前節から続く)
それから近ごろよく医学について「非常に寿命が延びた、これは医学の進歩だ」と言う人がありますが、どういうわけだというと、あなた方もそういうような質問があると思いますが、それはこういうわけだということを書いてみたので読ませてみます。
(御論文「寿命が延びた理由」朗読)〔「著述篇」第一一巻六五四ー六五五頁〕
だから病気でなくて真の健康で働いて長生きするというのが本当です。ところがそれができないからして、病気を浄化停止で大事にそっとしていて死なないだけにしているわけです。だから健康で寿命が延びたのでなくて、病気を押さえつけたまま、ただ寿命だけを延ばしたというわけです。ところが以前は、病気が起こった場合に浄化停止の薬の毒が薄かったために、浄化のほうが強くなって、そうして死ぬというわけだったのですから、つまり毒を強くして浄化を止めてしまうということが進歩といえば進歩です。ですからそれがいまの抗生物質というものなのです。その代わりだんだん老人が増えます。これは英、仏がそうです。だからして元気のある人間が少なくなるのです。ただその日を安穏<あんのん>に暮らしてゆくという消極的人間が増えるのです。英、仏の状態はそれがよく現われてます。ただ楽に暮らしてゆくというのです。それにお誹え向きなのが社会主義なのです。英国の社会主義の発達がそういうためなのです。そう働かなくても食い物だけは食える、配給される、それからすべては政府でやってくれる、学校の授業料はただ同様にしてくれる……ついこの間までは歯は全部官費だったのです。ただで歯を治してくれるのです。ところが近ごろは財政困難のために歯は個人で出すというように規則の改正がありました。そういうようだから、人民はそう働かなくても食うに困らないというわけなのです。だから楽には違いないが、国民の元気がなくなってきました。国民が、ただ楽して生きてゆくということだけしか考えなくなってきたのです。そういうようなわけだからして、死亡率は一時減っただけのもので、いまに同じになってしまいます。それはただ死亡率が延びただけのもので、その延びた期間だけが減ったというわけです。ですからその期間を過ぎると同じになってきます。だから医学の進歩のために寿命が延びたということは、延びたにしても一時的のものです。ただ国民の元気がなくなって、国民が弱ったまま長くなるだけのものですから、国家の経済上から言ったら非常にマイナスになるわけです。そういうことを言ったところで当局などは、もう「超愚」になってますから、分かるわけがありません。
▽次節に続く▽