昭和二十八年十月二十六日  

十月二十六日

 『アメリカを救う』という本は、もうだいたいできたのでいま翻訳のほうをやらせてます。日本文のほうは来月あたり印刷にかかるつもりです。徹底的に書きましたが、割合にアメリカの人は良いものは良いと、あんまり伝統に捉われるということはないですから、非常に解るだろうと思ってます。日本人は解っていて分からないという人が多いのです。「なるほどそれには違いないが、そういうわけにはいかない」という理屈です。この前の次のを読ませます。理論は五項目あって、この前は三項目まで読んでますから、その次をいま読ませます。

(御論文『アメリカを救う』「手術について」「浄霊医術」朗読)〔「著述篇」第一一巻一九―二三頁〕

 近来米国では結核が一番増えてきたそうですから、結核の理論を精しく書きました。どういうわけかというと、ストマイとかパスとか、ああいったようなつまり固める薬がいろいろできて、一時抑えつけられるために結核の死亡率が減ったといって喜んでいるのですが、死亡率が減ったということは、死亡を延ばしたわけです。固めて延ばしたわけですから、この浄化が来ると、延ばしただけ薬毒が……無論延ばしたということは毒が強い薬ですから、その浄化が起ると、以前より悪性の結核が起るわけです。日本も遠からずそうなりますから、見ていれば分かります。悲しむべきナンセンスです。そのために米国は結核が激増しますから、それを良く分からせようと思って精しく書きました。

(御論文『アメリカを救う』「結核」「伝染病」「結論」朗読

〔「著述篇」第一一巻二四―三一頁、四〇―四二頁〕

 いま聞かれた通り、ずいぶんこっぴどく書いてありますが、別にこっぴどく書こうと思ったわけではないのですが、先様のほうがこっぴどいから書かざるを得ないので、まあアメリカの人もこれを読んだらそうとう驚くだろうと思ってます。もしこれが非常に向こうの人の注目を引くことになったら、非常に売れるだろうと思います。非常に売れて、ドルをできるだけ獲得したい……と。これは一石二鳥で、少し欲張り過ぎますが、しかし悪いことでなく良いことですから、それに先方もこれを知って助けられるとしたら、御礼しても良いと思ってます。御礼のほうはいただくわけにはいかないが……。そうしてアメリカがこれを問題にするようになれば、それこそ日本人は大騒ぎをやって問題にしますから、無論日本人を助けるにも非常に有意義なものになるかもしれません。

 なにしろ日本人は未だに西洋崇拝で、舶来物でなければいけないという観念がこびりついてますから、これも大いに壊さなければならないと思っている。それで『アメリカを救う』という題は、いま、日本人はアメリカから救われたいという精神でいっぱいです。その反対のほうはソ連に忠義を尽くさなければならないという思想です。ですから、それというのは日本人の劣等感で、日本人は人の厄介にならなければならないとか、つまり外国人の御厄介にならなければならない、あるいは外国の思想、それが進歩したものだというふうに、とにかくソ連崇拝もアメリカ崇拝も、結局において日本人の劣等感が根本です。ですから、この劣等感をだんだん打ち破らなければならない。というのも理由がなく、ただ独り善がりではなんにもならないが、実をいうと日本人は世界で最優秀の民族なのです。で、いままで戦争や封建的の武士道だとか、あんなもので日本の優秀性を異<ちが>った方面に発達させたのです。ですから私は武士道は大嫌いです。武士道というのは、つまり自分さえ良ければ人はどうでも良いという、利己的観念の非常に強烈なものです。昔は、自分の殿様とか将軍とか、そういったものに忠義を尽くすということが武士道であり、御維新この方は天皇に忠節を尽くすというのが武士道の根本になってました。そのために日本人は敗戦というような憂き目をみたのです。ですから武士道というものは、一日も一刻も早く葬らなければならない。それだから私は『忠臣蔵』というのは大嫌いです。ところがこのごろ『忠臣蔵』が頭を持ち上げてきた。それで私は余興の講談とか浪曲で……講談が多いですが、『忠臣蔵』をやらないようにということを注意しているのです。ところが日本人はあれが好きで、このごろ復古的にいくらか頭を持ち上げるような形勢がありますが、困ったものです。

 それから今度の『栄光』に出した「今や亡びんとする日本画」というあれも、やっぱり結局において西洋崇拝です。日本の画家まで西洋崇拝に陥っている。それですから私は油絵は高級家具だと書いてます。怒るでしょうが、高級家具だから高級家具と言うので、別に悪く言うのではありません。芸術ではないのです。芸術と美術工芸の中間の物だと書いてますが、あれは画くのではない。塗るのですから、塗るということは一種の細工ですから、工芸品の性質を多分に含んでいるのです。あれは主なる画家だとか美術の関係者にみんな配りました。画家の二百何十人というのにみんな配ったから、読んでありがたがる人と、腹が立つ人と、いろいろあるでしょうが、しかしだんだん西洋崇拝というよりか……西洋崇拝も良いところがあります。良いところは崇拝しても良いですが、日本人の劣等感をなくしなければならない。日本人崇拝でなければならない。それで私は美術館に日本美術を多く出してあるということは、日本人崇拝を教えることです。昔の日本人はこういう偉い人があったということを知らせるのです。ですからして日本人は、いま言ったような封建精神が戦争によってぶち壊されましたから、これから民主的になってきた以上、平和的に非常に立派な仕事をしていくのです。それで結局西洋で驚いて日本崇拝ということになるのですが、それは時の問題です。ですから私はよほど前……二、三十年前から分かったのです。このヒントを得たのは大本教のためですから、その点は非常に感謝してます。それでだんだん自分が神様だと言われるようになってから、それがすっかり分かってきましたが、講和になるまではウッカリそういうことは言えないから言わなかったのですが、講和になって独立してみれば、そういうことも思いきって言えるから言ったわけです。なにしろ西洋医学に頼ることは、やはり一つの西洋崇拝思想が多分に出ている。ですから薬でも、外国でできた薬なら喜んで買おうと……ヒドラジドができたときなど、早くアメリカから来れば良いとどのくらい待っていたか分かりません。そういうようで日本人の劣等感というのは酷いです。ですから私はボツボツそういったことを知らせようとしているのです。いずれ熱海にできる美術館は世界一を狙ってますから、だんだん医学が分かるにつれて、だんだん西洋のほうで分かってきますから、これが第一日本崇拝です。それから『文明の創造』の本ができると、あれは医学以外にいろいろな文化方面に、現在の文化よりずっと進んだ文化ですし、それから美術だとかいろいろな点で、西洋から日本崇拝をさせるつもりです。つもりといっても、これは私がやっているのではない、神様がやっているのですからしかたがありません。で、日本人はなぜそういうことがあるかと言うと、これを人種的に……先にざっと書いてありますが、これを本当のことを言うと分かるのですが、まだ発表するのは早いので、もう少し経ったら発表します。そこで日本人の優秀であるということは、根本の神様から説いていくと分かるのです。それこそ破天荒の説で、おもしろいのはおもしろいです。そうすると本当に分かるが、しかし日本人のうちでも、本当に優秀なのは少ないです。ちょうど一〇〇人に一人くらいの割合です。これが日本人の中にいるのです。これが約三〇〇〇年の長い間抑えつけられてきた。それが、今度メシヤ教によって現われてくるのです。ですからこう(御浄霊)やって病気が治るということは、日本人だけなのです。日本人というよりか、日本人のうちのまたいっそう特別の日本人ですが、それだけがそういうことができるのです。ですからずっと以前、何千年も前は、やっぱりこれで病気を治したものです。それがある事情によってその日本人が下積みにされた。こういうこともだんだん時期の進むに従って発表していきますから、それを楽しみにしてもらいたいと思います。話はこのくらいにしておきます。

「昭和二十八年十月二十六日 」 昭和28年10月26日