昭和二十八年十月十六日

一〇月一六日

 『アメリカを救う』という本がやっとできて、これから印刷にかかるのですが、翻訳のほうの都合で非常に急いで半月ばかりでこしらえなければならないので、ずいぶん馬力をかけてやったのです。これができたら日本や米国の各方面に配ろうと思ってます。なにしろ、米国のほうで日本を救うという本が出たのなら、これはありそうなことですが、敗戦でやっと講和になってまだヒョロヒョロしている日本が、米国を救うというのはとんでもない話ですが、これを見て驚くだろうと思ってます。それでかえって興味を引くのではないかと思ってます。薬毒についても、なにしろ米国では薬に一番大騒ぎをしてますから、薬毒について徹底的に書いたつもりです。いつか「序論」を読ませましたが、今度はよほど完備したので、もう一遍読ませます。

(御論文『アメリカを救う』「序論」「病気とは何ぞや」「種痘と薬毒」朗読)

〔「著述篇」第一一巻八―一〇頁、第一〇巻六六〇―六六四頁、第一一巻一五―一九頁〕

 これを読んだらアメリカの人は驚くだろうと思います。薬を一番大騒ぎをやっているのですから、目が暈んだかと思うでしょう。それからまた、いまアメリカで特に自慢しているのは手術ですが、手術もそうとうやっつけてます。

(御論文『アメリカを救う』「手術について」朗読)〔「著述篇」第一一巻一九―二〇頁〕

 これに一つ一つの病気についての説明と、それに対するお蔭話を、多いのは六例少ないので三例くらい出したのです。これを良く読んだら、たいてい往生すると思います。おまけに米国の人は日本人よりか伝統に捉われません。白紙になって読むから非常に効果があると思います。その話はこのくらいにしておきます。

 ついこの間信者の人で小川菊蔵というバスの販売を非常に大きくやっていて有名な人が、今度世界中をまわって歩いたそのときのいろんな見聞記を聞いたのですが、なかなか参考になりました。いろんな細かい話を聞きましたが、結局引っ括るめて言うと、いま一番すばらしい勢いは西ドイツだそうです。西ドイツはとても国民に元気があるのです。非常にドイツ復興に熱心で、日本なんか較べものにならないそうです。もっとも私は去年新聞で西ドイツの出超に驚いたのですが、去年は三億ドルプラスになったのですが、それでびっくりしたのです。今度小川さんから聞いてみてなるほどと思ったのです。というのは、ドイツ人は一番優秀だぞという一つの自信が強いのです。それが動機です。それから美術はフランスが一番良いと思っていたそうですが、イタリアに行って驚いたそうです。フランスよりイタリアのほうがずっと上だそうです。これはそのはずです。フランスの美術は新しいですが、イタリアはもっと古さがあるのです。それはエジプトやギリシアが一番古いですが、発展していません。日本でいうと埴輪でも見るようなもので未開発時代の美術ですが、ローマ時代に至って絢爛たる美術が生まれたのです。それが残っているために、日本でいうと、ちょうど奈良朝時代の美術のようなものです。それからフランスは京都風です。そういうようで古さがあるから良いのです。特に驚いたのはイタリアも非常に国民的誇りをもっているのです。つまり自分の国はローマ華やかだった昔のころは、やはり欧州では一番文化が発達した国であるというその誇りがいまもってあるのです。で、現在ファッショがだいぶ興ってきたそうです。それについてムッソリーニはイタリアでは非常に崇拝されているそうです。ムッソリーニの家族がローマにいるそうですが、それは国民から優遇されて良い生活をしているそうです。それからドイツでも、ナチスはいま地下運動的にそうとう勢力をもっているそうです。で、ヒトラーもムッソリーニも国民の心の中ではなかなか非常に崇拝されているそうです。ただヒトラーもムッソリーニも非常に偉いので、ドイツ、イタリアの誇るべき人であるが、ただ戦争をしたからいけないので、その失敗だけで他のことは非常に良いということを考えているのです。

 特にドイツで驚いたのは道路が良いということだそうです。自動車屋さんだからよけいそういうことに気がつくのでしょうが、ドイツのヒトラー道路は一時間一五〇キロのスピードが出せるそうで、そういうのはアメリカにもないそうです。あれは私も驚いたのですが、ドイツが第一次欧州大戦後失業者が多く、そのときヒトラー道路といってドイツを縦貫するものを作ったのですが、いつかの映画を見ても分かります。それからみると、日本の道路を見ては呆れてしまいます。だから私が総理大臣になれば官吏を半分にします。官吏が多過ぎるから能率が上がらないのです。いま官吏の費用が五〇〇億くらいあるでしょうから、半分にすれば二五〇億ですみます。そうして日本に縦に道路を作って、あとは枝をつければ良いのです。そうすれば日本の道路問題は解決します。どうも、チビチビとしたり、曲がり角を削るくらいのしみったれなことをやっている。日本は思いきったことをやらないということは、一番は国民的誇りがないのです。小川さんも言ってましたが、日本人はそういったように国民的誇りがないためにフワフワして、外国的のことが良いと思っているのです。私はこれをぶち壊さなければならないと思う。日本の国民的誇りを自覚させなければならない。それを知らなければならない。ところがいままでは、それを知る人も知らせる人もなかったのです。これは私は、講和にならないうちは言えないから言わなかったが、もうソロソロ言っても良いでしょう。とにかく世界中で一番優秀な国民は日本人です。金に譬えれば、白人は銀に相当するが、日本人は金なのです。それだけの異いさです。それだから今度『アメリカを救う』という本を出したのですが、アメリカ人というのは、われわれからみればずっと下なのです。そういう自覚がないから、アメリカのまねばかりし、あるいはヨーロッパのまねをしているが、それは国民の自覚がないからです。自覚といっても、取ってつけたようなものではしようがないのです。このことは本当なのです。それをいままで日本人は知らなかったから、英、米のまねばかりしていた。だからまねは一番上手くなった。まねは鋭いものです。まねと贋物作りは世界一です。それから巾着切の上手いのは日本が一番です。それは外人に対する日本の国民的誇りでは……。ですから私はそれをだんだん直し、説いていきます。

 この間文士でそうとうに名のある人ですが、その人との話で日本の小説について私はこう言ったのです。日本人の小説は上手いがスケールが小さい。ただおもしろいのを作って有名になって、金を大いに儲けて大いに贅沢をするという考えで、社会のため、あるいは人類のためにどうするかという主張というものがない。だから日本の小説はそこに目醒めなければならない。そこにいくと西洋の小説は実にスケールが大きいことと、人類愛的にすばらしく知性が高い点があるのです。そういう話をしたのですが、どうも日本人はそういったようなお座なり的で、その日暮らし的の状態です。その代わりいろいろな種類は多いです。しかしそれをまとめた力強さがないということは、いま言った国民的誇りの自信がないということです。これも私はだんだん時節に応じて発表するつもりですが、日本人のなかにまたすばらしいものがあるのです。この一番すばらしいのは大和民族です。この大和民族の文化的知性というものは実にすばらしいものです。それがいままで隠れていた。というのは、神武天皇以来いろんな戦争で、平和より戦争のほうが多かったのです。それから権力争いです。そういうことのために下積みになっていた。私は大和民族の頭領なのです。ですからこれからいよいよ大和民族が出てくるのですが、大和民族というのは日の系統です。いままでの世界というのは月の世界、夜の世界だったからして、月が出ている間は太陽は地球の裏側になって暗闇になっていたというのが、今度いよいよ太陽が出て、月の夜が隠れてしまう。そこで昼の民族というのが大和民族です。大和民族の中心というのが私です。それで日の神様が守護しているのです。それで火素が出て病気が治るということになるのです。いままでは、こう(御浄霊)して病気を治すことはできなかったというのは、月の光だからです。月の光というのは太陽の六十分の一ですから、いままでの宗教では治っても六十分の一です。闇の夜であったのが、いよいよ太陽の光が出たら月の光は消えてしまうのです。太陽の光ですから六十倍病気が治るというわけです。それですから馬鹿に良く治るということはあたりまえで不思議はないのです。

「昭和二十八年十月十六日」 昭和28年10月16日