昭和二十八年九月十七日

九月十七日

 いま米国では病人が非常に増えてきたのです。今度信者で米国の大学に入っていた立松文二という人が帰ってきて、あっちの統計を細かく調査して帰ってきたのです。それを読ませます。

(御論文「米国に於ける驚くべき病者の氾濫」朗読)〔「著述篇」補巻二、五一三―五一四頁〕

(寄書「米国に於ける病気状況」朗読)〔「著述篇」補巻二、五一五―五一九頁〕

 なにしろいろんな病気が増えつつあるのです。これを一々原困その他をできるだけ精しく書くつもりです。そうして送ろうと思ってます。それでちょうど、浄化作用……要するに溶けようとする毒を固めてきたわけです。で、病気の種類もだんだん増えてくるのですが、それはつまり、この毒が出ようとするのを固めると、そこから出ないから、他から出ようとして変化をするのです。だからいろんな病気が増えるのです。それで薬毒がだんだん増えていくわけです。増えていくので……新しい薬というやつは、だんだん毒を強めて固めるのです。そうすると浄化作用は、だんだん昼の世界になるにつれて強くなっていく。それについてこの間もちょっと話しましたが、書いてみたのです。

(御論文「昼の世界に転換の科学的証明」朗読)〔「著述篇」第一〇巻六六五―六六六頁〕

 昼の世界になった一番初めは、日本では日蓮上人が出たときです。で、いつも言う通り仏教は月の教えだということは、つまり夜の世界というわけなのです。まあ、闇の世界です。そこで月がありがたかったのです。それが仏教です。それまで月であったのが、初めて仏教の中に日が出たわけです。それが日蓮上人なのです。日蓮上人は一番最初に安房の清澄山に登って、黎明に妙法蓮華経を唱えた。それから法華経を弘通したということになってますが、これは事実なのです。そんなわけで日蓮上人は、天照大御神の生まれ変わりだということを唱えていたのです。「われ日本の柱ともならん。われ日本の大舟ともならん」と言ったのですが、日本の柱ということは、日本の天皇ということです。自分は日本の天皇だと思っていたのです。ところがそれが間違いであったということを悟ったのですが、とにかくそんなわけで仏教の中に日が出たのです。だから仏界における黎明期に入ったというわけです。それからだんだん進んで明治に……この明治になったということが、そこにまた意味があるのです。それまでは武家の時代だったのです。武家の時代ということは、武力で天下を取っていたのです。で、最後の武家の天下が徳川時代だったのです。これは先にも書いたことがありますが、武家の先祖と言いますか、それは素盞鳴尊なのです。素盞鳴尊が神武天皇にやられたのです。まあ、息子の大国主命のときです。これは歴史にもありますが、神武天皇の系統を日の系統だということがあります。天照大御神の系統だということになってますが、天照大御神の傍系になっているのです。ですからまあ……系統とも言えるのです。本当の系統は押し込められたのです。岩戸隠れになっている。その傍系が神武天皇になっている。そこで大国主命は素盞鳴尊の系統ですから、月の系統になる。そこで日の系統をやっつけようと思って、そうして始終闘っていたのです。それが日本の戦争に次ぐ戦争であった原因なのです。そうして最後が徳川家康です。あれは素盞鳴尊の系統だからです。そこで今度は、素盞鳴尊のほうをやっつけて、そうして日の系統が立たなければならないということが明治なのです。王政復古です。その一番根本的の一つの手伝い、援助者がアメリカです。アメリカから、日本の開国のためにペリーなんかが来ました。それはどういうわけだというと、月の時代……英国は月の国だということは、私は言ってますが……を過ぎて、月がだんだん隠れてきて……月が隠れると闇になるから、そうすると星が光ってくるのです。そこで英国がだんだんおとろえるに従って、米国が勃興してきたのです。米国は星の国なのです。そうすると、星が過ぎると日が出るのです。これは天文学的にいっても良く分かります。月がなくなると真っ暗になり星が光る。そうして今度は日が出る。ですから「星」という字は「日が生まれる」と書いてある。米国は日本の日の系統を生んだわけです。米国が日本を開国したために、徳川というものは没落したのです。そうして日の系統である天皇のほうが、天下を治めたということです。ところでこれが、この形が宗教的に現われている。というのは、一番おもしろいのは、いまどこの宗教でもみんな病院を作り始めている。天理教なんかでも病院を作り始めているのです。それから「ひとのみち」……「PL教団」でも、日蓮宗の「霊友会」の一派で最近非常に有名になってきた「立正佼成会」でも、立派な病院を作っている。理想的な病院だと、非常に自慢している。これらも、以前は医学が駄目だとか薬が駄目だとか言っていた宗教ですが、いまはみんな病院をこしらえている。今度聞いた話ですが、「ひとのみち」の教祖の御木徳一という人のときに……二〇年前ですか、そのときに信者になったなかなか有力な人で、金なんかもたいへんに寄付したらしいですが、その当時に医者や薬はいかんと止められて、その通りにしていたら、間もなく自分は健康になって、いまもって家族でもなんでも医者にかからないで、非常に健康を維持している。ところが最近病院を作った。自分はどこまでも、病気は信仰で治すべきものと思っているので、病院を作った「ひとのみち」が頼りにならない。そこで今度は、医者に頼らない宗教で、信仰で病気を治すというものを見つけ始めたところが、メシヤ教より他にない。そこでメシヤ教に入りたいからと、ある支部に訪ねたというのです。ですからその人の話によっても、医者を否定する宗教はメシヤ教だけということになる。私が「大本教」に入った動機というのは、医学の間違ったことを知ってからですが、お筆先にこういうのがある。「外国から渡りて来た、毒にはなっても薬にはならぬ、ヤクザな物に高い金を払って身体を濁らす馬鹿な人民ばかり、神も困るぞよ」というのがある。そこで私も驚いた。そのころ薬は毒だという人はないのです。それがちゃんとお筆先にある。これはたいへんだと、「大本教」に入った一番の魅力だったのです。「大本教」もそれほど医学を否定して、あの時分にやっていたのです。ところがこの間「大本教」の古い人が来たのですが、真っ青な顔をしてきた。「どうした、あなたは薬を服んでいるだろう」と言ったら「漢方薬をやってます」と言う。ですからみんな医者にかかったり薬を服んでいるのです。以前は「ひとのみち」なんかでも、「御振替」で非常に良く治ったのです。それが治らないから病院を作るのですが、どうして治らなくなったかということは、いままでの宗教は全部月の系統の宗教なのです。その親玉は「天理教」です。「天理教」の神様が月の系統の神様です。天理王尊<てんりおうのみこと>というのは、相応した名前です。他のいろんな八柱の神という神様がありますが、あれは月の系統の神様です。「天理教」に古くから会があります……月日会というのがある。私はおかしいと思うが、日月会<じつげつかい>としたら良いだろうと思います。いまでもあります。それからもう一つは、「天理教」の標語に「一列揃って甘露台に」とあるが、甘露台ということは月の甘露です。それから、以前は甘露台というと、灯台みたいなものを作って、入れ物は皮かなにかを置いて、そこに月の夜に露を溜める。それを甘露といってたいへん尊び、病気のときにそれを一滴くらい飲むと、非常に良く治った。ですから月の系統ということは良く分かります。ところが昼の世界になるについて、さっき言った通り明治時代になって霊界の……八衢の前……八衢は三段になっており、天国も三段になってますが、言わば第三天国の所に黎明になった。これは私の本に書いてある通り、昭和六年六月一五日に房州の日本寺に行ったときが現界の黎明になったわけです。そうしてだんだん日が出てくる……つまり浄化が強くなってくる。火素が増えてくる。そうして昼間になってくると、月の光というものは、だんだん消えてくるのです。ですから月の光で治った力が、だんだんなくなってきて、いまはどの宗教でも病気は治らないのです。しかたなしに病院を作るということになる。ところがメシヤ教のほうはそれと反対です。毎年だんだん治ってくるのです。これはあなた方が浄霊すれば分かりますが、日に月に治り方が強くなってくるのです。ですからこれがだんだん進むと、いよいよ月の系統のほうは、まったく治らなくなってきます。だんだんそうなってきてますが、いっそう治らなくなるとともに、日の火素のほうが強くなってくるに従って、浄化が強くなってきます。そこで月のほうは……医学も月のほうですから、固めるというのですから……。以前よく手の平療法とかいろいろな療法がありましたが、それはそうとう効き目があるのです。治るのです。しかしそれはみんな固め療法です。そして固め療法の親方が医学です。薬で固めるのですから……。ところがだんだん火素が増えるに従って、固め療法が固まらなくなってきた。これは医学のほうでよく現われている。このごろ、先には良く効いたがこのごろ効かなくなった、ということが非常に増えてきた。先に、ヒドラジドはアメリカでは良く効いたのです。ところがアメリカのほうは火素が弱いのです。日本から日が出るから、日本のほうが浄化力が強いのです。そういうわけですから、ヒドラジドが日本に来たら、固める力が弱くなるから効かないのです。二、三日前の新聞に、いままでの試験では一番おおげさにやったように書いてありますが、効いた人が三割だというのです。三割効いたといったところで、一時的なものですから、また幾月か経つと元の木阿弥になるから、結局一人も効かないということになります。ですからそういう具合に、ますます火素が増えつつあるということは、はっきり分かるのです。なんにでも現われている。このごろお医者さんのほうでも、首をひねってきたのがずいぶんあります。メシヤ教は病気が良く治るということでも、医学界のほうにもだいぶ知れてきたようです。これはあたりまえの話ですが、喜ばしい話です。そんなようで、だんだんそれが著しくなってきて、しまいには注射すると即座に死ぬ、ということになります。それで初めて、医学はもう駄目だ。ではなにか他にないかということになると、メシヤ教は先からこういうことを言っていた。それではメシヤ教を研究してみよう、ということにならないこともありません。それからがこっちの出場の舞台になります。みんな鼻をオヤカしておいて……。いまに引っ張りダコにされるでしょう。それまで我慢して楽しみにしていることです。あまり長くなるから、その話はそのくらいにして。
 これはちょっとおもしろい論文です。

(御論文「美術品の集まる理由」朗読)〔「著述篇」第一〇巻六四四―六四七頁〕

 二年前に初版でない再版物の広重の五十三次を持ってきた道具屋がありますが、それはふつうの道具屋です。それが二、三年後に、本当の初版物が再版物よりずっと安価ですからびっくりしました。

「昭和二十八年九月十七日」 昭和28年09月17日