教集20 春季大祭御教え 昭和二十八年三月二十五日(4)

▽前節から続く▽

 それから美術館は今年は去年とはよほど変わると思います。それで箱根の宿屋や登山電車のほうで早くしてくれと言って非常に頼みに来たりするし、それからまたほかのほうでもだいぶ評判になってきて、早く開いてもらいたいという声もだいぶあるので、四月二一日に開くことにしました。そして特別展としてエジプト、ギリシア、ペルシア、インドの物を出します。中国のは無論ですが、去年とはだいぶ違ってます。去年は陶器に絵画ですが、今年は銅器も出します。これはすばらしい物で、たいてい二〇〇〇年から三〇〇〇年前後の古いのが多いのです。周<しゅう>時代と、その前の商<しょう>、殷<いん>というころの物です。そういう銅器もだいぶ出ます。それからおもしろいのは、日本では西洋の古い骨董品は見ることができないのです。というのは、博物館はあれに手を出さなかったのです。これは前に帝室博物館、その次に国立博物館となったので、とにかく日本の物を専門にしたのです。ただ支那の物は混ぜたくらいです。そこで外国の物までは手を出さなかったのです。ところが調べてみると日本にはそういう物がなかなかあるのです。それが今年になってから非常にはいってくるのです。私はそういうことにはぜんぜん関心を持っていなかったが、不思議にはいってくるのです。それで神様がこの展覧会をやらなければいけないという意味なのです。それで一部屋だけそういう美術品を並べる所ができるわけです。もう三〇点くらい集まりました。それでなかなかおもしろいのです。私はあんな古い物で、しかも西洋で、そんな良い物ができるとは思わなかったのですが、すばらしい物ができてます。なにしろエジプトの三〇〇〇年前の物でも見るべきところがあるのです。そういうのを陳列します。そして六月から浮世絵展をやるつもりです。今度できる別館を主にして浮世絵展をやるつもりです。浮世絵もまた去年の夏あたりから非常に集まってきたのです。ですからいままでの浮世絵展としたら一番だろうと思います。実に良い物が集まったのです。ただ版画は私は最初にあんまり趣味がなかったので、割に数が少なかったのです。ところがこの間博物館ですっかり調べに来てくれて、私のほうで足りない分は博物館のを貸すということになってますから、とにかく非常に充実した浮世絵展ができると思います。それから仏に関した物もなかなか良い物がはいってきています。これらも神様がやるだけに実に不思議な品物です。たぶん出ると思いますが、日本一の物というのがはいってます。それは法隆寺にあるのより上なのです。これが民間にあったということは不思議なのです。もっともこれはある有名な寺の本尊さんです。やはり天平<てんぴょう>時代の物ですが、それと同じ物で法隆寺のはもっと小さいのです。私のほうのは大きいのです。それは日本一ですから、無論世界一の物です。そういうのも出すつもりです。ですから仏像の中でもそうとうに良い物が出ます。それから現代の美術品はどうも人気がないので今年はやめるつもりです。そういうようで、去年よりもそうとう充実したものになります。去年はただきれいだったのです。全般的にわたった物をやったが、今年は非常におもしろ味がある展覧会になるだろうと思いますから、そのつもりで楽しみにしてもらいたいと思います。

△御講話おわり△

「『御教え集』二十号、岡田茂吉全集講話篇第十巻p115~117」 昭和28年03月25日