教集19 昭和二十八年二月五日(3) 

▽前節から続く▽

 それについて、最近フランスに二年滞在していた洋画家の佐野繁次郎という人で、この人はパッとはしないが、なかなか実力を持っている人です。その人が一〇日ばかり前に帰朝してきて、私とは懇意にしているので二、三日前に来たのです。それでいろいろ話を聞いてみると、やはりだいたい私が想像していたのと同じようですが、そのほかにちょっと変わったおもしろい話があるので、それを話します。

 一番意外に思ったことは、フランスもイギリスも、国家意識というものが非常になくなってしまったのです。それで将来どこの国の支配になるか分からない……ということはソ連ですが、そうなるかもしれないから、そのときの用意をしなければならないというので、国民はその準備をしているのだそうです。それはなにかというと、金<きん>を貯蔵するのです。英、仏の国民はいまさかんに金を貯蔵しているのだそうです。それでその貯蔵するのに、金の針金にしているそうです。金塊では分けるのに手数がかかるから、針金だとわけはないから、細いのや太いのといろいろあるそうです。お金がちょっとでもたまると金の針金を買ってとっておくのだそうです。ですからソ連の属国になるかも分からないという予想はしているのです。だからどこまでも刃向<はむ>かって国を守るという意識は非常に薄くなっているのです。だからアメリカのほうで、軍備を大いに充実しなければならないと言って、金を貸したりして騒いでも、さっぱり気がのらないのです。それでいまダレス国務長官がフランスに行ってますが、これはうんとあおって、大いに軍備を充実させようというわけですが、なにしろ、国民がそういうようで、なんというか、とにかく弱ってしまっているのです。そういう状態で、イギリスなども非常に食物が足りないと、新聞などによく出ているから知っているでしょうが、卵でも、一週間に何個と決められているくらいです。それで私は聞いてみたのです。とにかくイギリスはあれだけの土地があるのだから、ちょっとでも空地があるだろうから、どんどん畑にして作ったらいいだろうと言うと、それが不思議だと言うのです。イギリスの国民は長い間食料を輸入していたので、自分で作るということはぜんぜんしないのだそうです。だから日本人なら、それこそ戦時中のようにネコの額<ひたい>のような所に種をまいて作りますが、そういうことはしないそうです。というのは、これは私の説にあるとおり弱ってしまっているのです。それはなぜ弱ったかというと、根本は種痘です。種痘のためにだんだん弱ってきたのです。そのほかには、勿論医学で薬をのませるために弱ったのです。だから種痘が遅かった国だけはどうやら活気があるのです。そこでソ連とアメリカは種痘が遅かったので割に活気があるわけです。それでアメリカもこれから進んでいくと、英、仏のようになるから、そうなったらたいへんです。そこで世界制覇を目的とする邪神の赤龍黒龍という連中は、世界に勢力を張っている民族をできるだけ弱らせて、最後に武力をもってやっつけてしまい、世界を自分のものにするということを、二千数百年前から計画を立てているのです。そしてそのとおりになってきつつあります。英、仏が駄目になり、米国もおそらく一世紀たたないうちに弱るでしょう。そうして共産主義のほうの国民は労働をうんとやって、労働によって体を鍛えて、それに武器をあてがってやればいいのです。その一歩手前に来ているわけです。それで私が『アメリカを救う』という本を出した根本はそこにあります。そこでその手段というのが薬をのませることです。薬でなく毒をのませて弱らせているのです。それで「薬は非常に効き、病気をなおすものだ」というように巧妙に瞞したのです。注射とか、手術というのは、みんな邪神の巧妙な計画なのです。日本もそのお相伴<しょうばん>をして、いまさかんに弱らせられている現状です。これが九分九厘です。九分九厘まで文化民族を瞞してしまったのです。それで私が医学の革命ということを始めたのは一厘の仕組みです。この九分九厘と一厘という言葉は、それが根本なのです。そうして目覚めさせるというわけです。いま私が書いているのは『医学革命の書』というのです。これは微に入り細にわたって徹底して書きます。病気、健康、医学ということについて、どうしても分からなければならないというように書いてあります。これを読んだら、おそらくどんな人でも分からないわけにはいかないと思います。これも英文にしてアメリカやヨーロッパに全部配るつもりです。これは人類から病がなくなるまでの『聖書』のようなものになるわけです。そういうわけで医学革命というものは、そういうように非常に深い意味があるのです。

▽次節に続く▽

「『御教え集』十九号、岡田茂吉全集講話篇第十巻p9~11」 昭和28年02月05日