教集19 昭和二十八年二月十六日(3) 

▽前節から続く▽

 私の父は五六歳で死にましたが、非常に早死にだったのです。なんでも便秘をなおすために二、三十年間大黄<ヽヽ>という薬を毎日一日も欠かさずのんでいたのです。のまないと便秘をして気持ちが悪いので続けていたのです。それで死ぬ前に心臓病になって、医者にみせたら、半年くらいしかもたないと言われて、やはりそれから数ヵ月たってから死にました。死ぬときに睾丸の皮が破れて、それはとても臭い汁が出ました。そのときには私はまだ若年でしたから分からなかったが、今日考えてみると、それは大黄<ヽヽ>の中毒だったのです。

 それで、一番分かるのは顔色です。だから中国人には黄色い顔色をした人が多いのです。赤い顔はあんまりありません。それは漢方薬中毒のためです。もっとも日本よりあっちが本場ですから、よくのんでます。そういうようで薬毒の場合には漢方薬を考えてみると間違いありません。それから田舎の農夫などはどうも黄色い顔が多いのです。都会人のほうは白い顔か青い顔をしてますが、農村の人は黄色いのが多いです。これは、まずい物を食っているからと言うが、そうではないので、漢方薬を煎じてのむからです。ですから農村の人でも、いくらまずい物を食っていても、漢方薬をのまなければ赤い顔になります。それを一番感じたのは、去年の春に薬師寺の管長の橋本凝胤<はしもとぎょういん>氏が私の所に来たので、半日話をしましたが、それは実に赤い顔をして、模範的と言ってもいいくらいに良い顔色です。それでそうとう太っていて、実に頑健なものです。そうなると男性美と言うか、一種の美しさを感じます。顔を見ていて実に惚れ惚れとします。五六歳だそうですが、聞いてみると絶対菜食だそうです。だから私の所で晩のごちそうをしてあげるのに、鰹節も入れずに、本当の菜食にしてあげました。だから栄養学から言うと、栄養不良で青い顔をしていなければならないのが、ぜんぜん反対です。

 そうしてみると、漢方薬中毒というものは恐ろしいということを大いに話してやったほうがいいでしょう。それからそのつもりで浄霊してやるといいです。それで浄霊してもしても、あとから溜まってきますが、それはたいてい漢方薬です。またこれは量が多いのです。何年も続けて持薬<じやく>といってのみますから、そのために顔色が悪かったり、女の人などは美しくないというのがずいぶんあります。

▽次節に続く▽

「『御教え集』十九号、岡田茂吉全集講話篇第十巻p38~39」 昭和28年02月16日