教集19 昭和二十八年二月十六日(5) 

 世の中に悪というものがなくなったら、どういうようになるか、ということをざっと書いてみました。

 (御論文「若しもこの世界から「悪」がなくなったら」朗読)〔「著述篇」第一一巻四〇九-四一三頁〕

 それから時局について少し話してみます。朝鮮問題も、アイク大統領就任によって、よく世間ではトルーマンのときとたいして変わらないと、新聞などでも言ってます。だから吉田首相なども、このままで行くと、日本もそう変わらないと言ってますが、これを聞くと吉田さんも少し年のせいではないかと思えます。アメリカの変わり方というものは、まるで手の平を返したようです。大統領がいろいろな案を次々と出してますが、これによってみても分かるように、実に積極的にいろいろな手を打とうとしてます。従って日本も大いに変わります。その影響によって変わらなければならないようになります。というのは、なんとしてもアメリカが主になって大攻撃を始めますから、それは「新年号」の「世界夢物語」に書いてますが、あのとおりになりつつあります。それで台湾の中立化解除も非常に結構です。そして国民政府が割合に早く出るようなあんばいでしたが、やはり準備にどうしても一年はかかるということを言ってます。それに、戦線を拡げるのを英、仏などは非常に嫌っているので、ごく最近になって戦線を拡げないで北鮮軍を一遍に攻撃するような作戦になってきました。それで、平壌<へいじょう>、元山<げんざん>の四〇度線の付近までやってしまおうというのです。私は、現在の二二〇キロの戦線を一番狭い一〇〇キロの線まで押して行くということを書きましたが、ちょうどあのとおりになってきました。それで神様のほうから言うと、やはり朝鮮の南北を合併させて、それから中共に当たるというのが順序なのです。だからこの間のうちは、台湾の国民軍を出すようにしたり、沿岸封鎖、満州爆撃というようなことを企<くわだ>てて、非常に言われてましたが、それではどうしても順序が違うのです。それで今度朝鮮を一遍にやるということは、順序からいっても非常にいいのです。そういうようで、最初は小手調べをやって、それによって大々的にやるでしょうが、やはりアイゼンハゥアーはあせってますが、なかなかそう簡単にはいきません。とにかく中共のほうもよほど準備はしているようですから、ずいぶん苦戦な場面が出るだろうと思います。しかし無論アメリカのほうが勝つには勝ちますから結局は大丈夫ですが、かなり激戦があるだろうと思います。それで中共がやられるまで、ソ連はそう深入りしてこないということも書いておきましたが、やはりそういうような説もちょいちょいあるようです。ソ連関係はたいして悪化する気遣いはないと思います。

 今度も「スターリンの肚」ということを書きましたが、スターリンの肚というのはヨーロッパにあるのです。それでアメリカもうすうすはそれが分かってますから、この間もダレス氏がヨーロッパに行って英、仏の尻を叩きましたが、とにかく英国人、仏国人などは、もう弱りきっていて元気がないのです。だからともすれば尻込みして、戦争を嫌がっているのです。なるほど戦争を嫌がるのも良いですが、それで落ちつけばいいが、いずれはソ連から大々的にやられて占領されてしまうのです。スターリンの肚の中は、ヨーロッパを全部占領する目的ですから、そのときになってベソをかいても遅いのです。だから将来ヨーロッパのほとんどの国が苦境に陥るに決まってます。それで私にはスターリンの考えていることが分かるのです。まあ、霊的通信によってです。しかしスターリンという人は、やはり無神論者ですから、その考えたるや唯物的にはたしかに良いのですが、結局成功はしません。まあ、最後はヒトラー以上に悲惨かもしれません。しかしそれもこれも、やはり神様の経綸なのです。いつも言うとおり、壊し屋の親方なのですから、これが大いに働かなければいけないわけなのです。そこで結局メシヤ会館はだいたい今年いっぱいでできる予定ですが、やはり春にかかるでしょう。それからが大いにいまの大波乱が本当に目立ってくるわけです。それこそ龍虎相争うというような場面になってくるわけです。そうして神様のほうは、南北朝鮮をすっかり掃除して合併させて、それから中国全土をすっかり掃除をしてきれいにして、そうして日本と朝鮮と中国の三つは固く手を握る、ということになるのです。日本は五で朝鮮は六で中国は七ですから、これはミロクです。それが本当にそうなるまでにはなかなか時日がかかりますが、それがあらかたそうなってから、ヨーロッパの掃除が始まるのです。そういう幕が次々に出てきますから、それをだいたい知ってみると、とてもおもしろいのです。それこそ開闢<かいびゃく>以来ない大芝居で、世界的チャンバラ劇です。大本教のお筆先にこういうのがあります。「早くから神に縋りて居た人間は、いよいよとなりたら高見の見物をさせてやるぞよ」というのがありますが、お筆先は簡単にうまく言ってあります。そういうように、ちょいちょい時局に対しての論文を出してますが、今度の『地上天国』にも出してあります。これもちょっとおもしろく書いてあります。

▽次節に続く▽

「『御教え集』十九号、岡田茂吉全集講話篇第十巻p34~36」 昭和28年02月16日