教集19 昭和二十八年二月十五日(4) 

▽前節から続く▽

 それから知っておかなくてはならないことは、漢方薬というものを一般人は割合に軽くみているのです。あなた方もそうですが、病人に「あなたのは薬毒だ、薬はずいぶんのんだでしょう」と言うと、「いやそんなにのみません」ということがよくありますが、答える人は漢方薬を薬のように思っていないのです。それでだんだん問いつめていくと、「若いときに煎じ薬を少しのみました」と答えるが、漢方薬というのは一回のんでもたいへんなものです。土瓶一杯でもたいへんなものです。それでいま浄化する人をみると漢方薬が非常に多いのです。西洋の薬よりも漢方薬のほうがよけい害を与えるようです。前にも言ったとおり、漢方薬のうちでも非常に毒の多い少ないがありますが、一番毒の強いのはげんのしょうこです。げんのしょうこを少しよけいのんだ人は請け合ってはいけないと言ったことがありますが、それはそういうわけです。その次はどくだみ<ヽヽヽヽ>が非常に悪いのです。それから顔色の悪い人はまず漢方薬中毒と思ってもたいてい間違いありません。それで中国人は顔色が悪くて黄色い顔色をしてますが、それはやはり漢方薬です。だから顔色の悪い人に聞いてみると、必ず漢方薬をたくさんのんでます。それで漢方薬中毒が人間の寿命を一番縮めるのです。近ごろ日本人の寿命が延びたとか言ってますが、これは漢方薬をやめて西洋の薬をのむようになったので、それが一番の原因です。そのくらい漢方薬というのは恐ろしいのです。ですから、よく田舎の人などは一々お医者に行くのは不便だというために、草根木皮を持薬<じやく>といってのむ癖がありますが、そこで田舎の人は割合に顔色が悪く、黄色い顔色をしている人が多いのです。これはたいてい漢方薬中毒です。それをいま書いてます。これをよく心得ておいて、これからはその点をよく注意することです。なにしろ量が多いのですから、浄霊して溶け出すにも長くかかります。そこにいくと西洋の薬は量が少ないから割合に早くすみます。だから比べると、むしろ漢方薬のほうが長くかかりますから始末が悪いのです。漢方薬中毒を大いに注意しなければいけません。

 それで漢方薬にもいろいろありますが、私の父というのは、五六歳で死にました。割合に早死にでしたが、やはり漢方薬中毒です。というのは、若い時分から便秘症なので、大黄という薬を約三〇年くらいのんだでしょうが、いま考えてみますとその中毒で死んだのです。そういうようで漢方薬の下剤なども非常に怖いのです。それから花柳界の人などはどくだみをたくさんのんでます。だからそういう人はとても長くかかります。いくら溶かしても溶かしても、薬毒がほとんどきれないほどありますが、それはほとんど漢方薬です。それだけを心得てやればいいのです。

△御講話おわり△

「『御教え集』十九号、岡田茂吉全集講話篇第十巻p33~34」 昭和28年02月15日