教集19 昭和二十八年二月七日(3) 

▽前節から続く▽

 それから「新年号」に「世界夢物語」というのを書きましたが、あれはヨーロッパのことは書いてなかったのです。朝鮮戦争のことだけを主にして書きましたから、今度はヨーロッパのことを少し書いてみましたから、それを読ませます。

 (御論文「世界夢物語(二)」朗読)〔「著述篇」第一一巻四八-五〇頁〕

 いま読んだようなわけで、アジアよりヨーロッパのほうが危ないのです。とにかくいまの情勢はソ連の思うとおりに行っているわけです。というのは、今度アイゼンハゥアー大統領が大々的に中共をやっつけるという準備をいまやってますが、それでこの準備も、私が「新年号」に書いたとおり半年や一年はかかるのです。それでいま着々と固めているわけなのです。いまは台湾の封鎖解除とか、沿岸封鎖とか、アジアの各地に飛行機を非常に配布しているようです。あるいは原子爆弾を使うかもしれません。しかしこれは威嚇程度でしょう。そうして、なんとしても中共をやっつけて取るというのです。しかし中共も、とにかくトルーマン大統領が延ばしてくれたので、戦備はうんと充実して、原爆に対する地下の防備などもだいぶできているようです。まったくスターリンはトルーマンにお辞儀をしてもいいわけです。それに、マッカーサーがあの勢いでやっつけてしまおうというのを、トルーマンが止めてグズグズしておいて時を稼がせたのです。トルーマンという人も悪気でしたのではないでしょうが、ただ第三次戦争にでもなったらたいへんだという引っ込み思案で、無事太平を願ってやったので、これは惜しいことをしたのです。それで今度やることになるとアメリカもなかなか骨が折れます。とにかく中共のほうの労働力というのはすばらしいものです。それから毛沢東にしても周恩来にしてもなかなか頭が働きますから……。けれどもこのままグズグズしておいたら、だんだんソ連のほうは充実してきて、アメリカのほうは、ちょうど結核のように少しずつ消耗してしまいますから、早く思いきってやるよりしようがないというので、アイゼンハゥアーの計画もこれよりほかにしようがないのです。そうしてやっと中共をやっつけて、ふたたび蒋介石<しょうかいせき>の手に戻したとすれば、アメリカは非常に勝ったわけですから良いようなものですが、アメリカの戦力はそのために非常に消耗しますから、そこをつけ込んでソ連はヨーロッパに大攻撃をやるわけです。ところが肝腎の英、仏がいま言ったようにまるっきり戦力がないから、割合簡単にやっつけられてしまうと思います。ほとんど抵抗するだけの力もないでしょう。なにしろ、いまもって、アメリカがいくら尻を叩<たた>いても、なんだかんだと言って反対するのです。特に英国のあのざまというのはありません。チャーチルでも、イーデンでも、アメリカの今度の台湾封鎖解除に反対してますが、それはただ無事太平を望んでいて、国家の権威も世界に対する正義感もぜんぜん起せないのです。それほど弱りきっているのです。

 ではなぜそんなに弱ったかというと、これは邪神が約二〇〇〇年くらい前から世界を自分の手に握ろうとして計画したのです。その計画というのは、その時分から一番開けていた文化民族の体を弱らせて、最後に武力をもってやっつけようというのです。それで弱らせるために、医学をつくったのです。ですから毒を薬のようにうまく瞞<だま>して、うんとのまして弱らせてきたのです。そのうちで一番の手柄<てがら>をしたのは種痘です。これが体を弱らせるのに一番効果があるのです。そこで種痘を一番最初に始めたのは英、仏ですから、これが一番弱っているのです。それにこの数世紀にわたって割合に順調に行きました。それでドイツのように苦労するとあんまりやってないからちょうど良かったのです。それからソ連とアメリカだけは種痘を始めたのが遅いのです。それでいまアメリカを弱らせようと思って薬で一生懸命にやってますが、新薬ができるということは、邪神がアメリカを早く弱らせなければならないというのでやっているのです。そしてソ連のほうでは労働階級にうんと体力がつくように、どんな者でも労働しなければならないようにやっているわけです。いっぽうに弱らせた民族をつくっておいて、いっぽうに労働で体力を持った民族をつくらして、一挙に武力をもってやるというわけです。それを私は前から見破ってますから、第一にアメリカを救わなければならないのです。それにはまず薬の毒を知らせなければならないから、今度の『アメリカを救う』という本はそれが根本の意味なのです。そこで二〇〇〇年前につくったというのはマッソン秘密結社です。それから分かれたのがフリーメーソンです。根本はマッソン秘密結社です。これは最初秘密団体をつくったのです。そうして事務所を石屋組合の事務所においたのです。ですからマッソンのことを一名石屋といいます。それから「石屋」と「医者」は言霊<ことたま>は相通じるのです。ですから医者ということは石屋で、石屋というのはマッソン秘密結社の陰謀です。私がいま書いているのは『医学革命の書』というのですが、つまり医者を革命するのです。それで世界は邪神に掌握されますから、そうなると、これまで来たのがまるでぶち壊しになってしまいますからたいへんなのです。だから表面から見ただけではなかなか見破れないのです。それで医者のほうはアメリカを弱らせようとするし、またいっぽうの手はソ連の軍備を大いに充実してやっつける準備をするというわけで、世界はほとんど九分九厘まで、彼の計画が成功してきたのです。それで九分九厘と一厘ということになりますが、私は一厘の仕事をして引っ繰り返してしまうというわけです。これは私がやっているのではないので、神様同士がやっているのですが、たいへんなものです。それでマッソンのほうの親玉は黒龍と赤龍なのですが、これがまたたいへんなのです。それで私はいままで黒龍と戦ってきたのです。それで近ごろは黒龍はだいぶ弱ってきたのです。だいぶ悔い改めるに近くなってきました。だからそれだけずつ救世教は発展して行くわけです。しかしなにしろ共産党の根本というものは学者と労働者です。根本というがマッソンです。根本の趣旨はそこにあるのです。学者と労働者を手にしなければ世界革命はできないという、なかなかうまいところを狙っています。そこでわれわれがやっていることをインテリが一番嫌うのです。ですから共産党の運動などもやはり学者がやっているのです。学生が火炎瓶を投げたりして踊りましたが、去年法務総裁をやっていた木村さんが(いま保安庁長官になってます)箱根の美術館に来たときに一時間か二時間話をしましたが、あの人は大の共産党嫌いで、なんとしても共産党をやっつけなければならないというので、それを吉田首相に買われて保安庁長官になったのです。保安隊というのは共産党をやっつけるためのものなのです。それで私は木村さんに言ったのです。「政府は一番肝腎なところに手を打たない、それが私には分からない。一番は大学の教授だ。これから共産思想を抜くことだ。第二は大新聞社から共産思想を抜くことだ。これで日本は共産党は怖くないようになる」と言ったのです。日本では学者と大新聞社です。大新聞社のうちでも『朝日』です。これがたいへんな共産思想です。二、三日前に今度のメーデー問題の公判のことを書いてましたが、その書き方が『朝日』のは「傍聴者大喝采」などと大きなことを書いてます。まるで肩をもっているような書き方です。ほかの新聞はそうではありません。それで私のほうのことでも、始終反対の態度をとってます。だから今度の『アメリカを救う』でも、『朝日』だけは広告を出さないのです。これはなぜというと、共産党は新宗教が一番嫌いなのです。既成宗教はそうでもないが、新宗教は力があるからです。特に救世教は共産党にとっては危ないのです。だから日本の共産思想をなくするというのはわけはないのです。学者と新聞社です。新聞は、共産党の記事は小さく書けばいいのです。いままでは共産党の働き手は英雄化して書いているのです。ですから一番シャクに障<さわ>ることは、以前のことですが「岡田茂吉」と呼び捨てに書いて、「徳田球一氏<ヽ>」と書いているのです。こういう新聞社の頭ではしようがありません。ですから私はこの二つをやればなんでもないと言ったのです。「なるほどね」と言ってましたが、ところがその手を打つだけのこともなかなかできないのです。というのは察するに、大学の教授から共産的思想のない者だけを選べばいくらもいないでしょう。しかしだいたいはそうなのです。だいたい生徒がああいうことをやるといっても、それは教授が教育するからです。教授がグッと押さえたらあんなことはありません。生徒はかわいそうなものです。ですからそれをぜんぜん閑却しているのです。それから大新聞社が共産党の党首を英雄扱いしないことです。それから共産党の記事は小さくすることと、それでいいのです。それからいまの左派は共産党の化け物です。鈴木茂三郎などがしきりにやってますが、共産党は頭がいいですから、なお放送局の中にもやっているのです。中には共産党のすごいのがいるようです。ですから放送部長が「婦人の時間」にか、鈴木茂三郎がなんとか言ってましたが、鈴木茂三郎というのは、共産党が社会党の面を被ってやっているようなものです。それで再軍備反対をやってますが、これは再軍備反対の親玉です。そういうように朝日新聞とNHKをギュッとやっているのですから、なかなか頭は働いてます。しかしとにかく共産党はいくら頭が働くといっても、根本が悪ですから成功するわけはありません。だからそう怖がることはありません。いくらマッソンがうまいことをやっても、悪ですから悪は九分九厘の力しかないのです。神様は一厘だから、一厘だけ欠けているから駄目です。

 話はそのくらいにしておいて、ちょっとおもしろい論文を読ませます。
 

(御論文「若しもこの世界から「悪」がなくなったら」朗読)
〔「著述篇」第一一巻四〇九-四一三頁〕

△御講話おわり△

「『御教え集』十九号、岡田茂吉全集講話篇第十巻p25~29」 昭和28年02月07日