▽前節から続く▽
もう一つ佐野さんの話で、これは私は知らなかったのですが、カトリックの勢力はたいへんなものだそうです。いまスターリンが一番弱っているのはカトリックなのです。どういうことで弱っているかというと、各国の芸術家の偉いのがおります。音楽家の偉いのとか、画家の偉いのとか、文学者の偉いのをスターリンが引っ張ろうとするのです。それでずいぶん高い金を払うのですが、カトリックのほうはローマのヴァチカン宮殿にいるピウス十二世のほうで、そういう偉い芸術家を自分のほうにとるのです。ところがピウス十二世のほうではたいへんな金を出すので、とうていスターリンのほうはかなわないのです。そうかといって、共産主義のほうで宗教をやっつけるということはできないのです。宗教ぐらい根強いものはないということは知っているのです。それはそうでしょう。ソ連邦ができたときに、最初はキリスト教などを弾圧して、戸を閉めてはいらないようにしたのです。ところがクリスチャンがどこからともなくはいって集まってしまうのです。どんなことをしてもとても追いつかないので、何年かたってからキリスト教を許しましたが、さすがのスターリンも宗教にはかなわないのです。カトリックの勢力というものは、聞いてみるとたいへんなものなのです。ヨーロッパのどの国の国民にも実にしみ込んでいるそうです。それでアメリカなどの金持ちでも、やはりカトリックが非常に多いそうです。ですから世界のキリスト教信者があげる金というものは何億くらいあるか分からないそうです。だからその金が使いきれなくて弱っているくらいだそうです。そこでアジアなども、中国の北方でなく南のほうにはカトリックがなかなかしみ込んでいます。それからアフリカ方面もカトリックはずいぶんしみ込んでいるそうです。だから私のほうで今度アメリカに樋口さんが行かれることになってますが、結局妨害するとすれば、やはりカトリックです。宗教ですから戦うわけにはいかないが、そこで神様がうまくやられます。カトリックの信者が救世教の信者になるというようなことになるわけですが、そんなことをしていてはとても年限がかかって、世界人類を救うというのに間に合いませんから、そこで神様はうまい手を打つのです。それでだいたいキリスト教のほうでは、将来贋<にせ>キリストが出るから注意しなければならないということを、『聖書』にも書いてありますし、あっちの牧師というのはそれを一番注意してます。しかし贋キリストの注意をしているかわりに、「再臨のキリスト」ということも言っているのてす。だから贋キリストが出る代わりに本物のキリストが出るということも言われてます。そこてだんだんやっているうちに、これは本物のキリストだということになれば、カトリックでも一遍にみんなこっちに来てしまいます。神様のほうにはそういう仕組みがあります。まあ時期の問題てす。その先のことも分かってますが、まだ言うわけにはいきません。
とにかくいま言ったようにヨーロッパが非常に弱ってますから、ソ連がうんとやれはヨーロッパを占領するのは朝メシ前です。ぜんぜん正義はないのです。そのためにいくらアメリカで尻を叩いてもなかなか動かないのてす。それでアメリカはそれに一番弱っているのてす。そこで今度の台湾の解放なども、イギリスは非常に反対してますが、これはアジアだけで戦争をさせておいて、ヨーロッパに戦争を及ぼさないようにというので、どこまても安きを望んでいるわけです。それがそういうようにいつまでもいくかというと、そういうようにイギリスがヘッピリ腰のために、ソ連にヨシと狙われるわけです。ですからスターリンの肚というのは、ある時期が来たら一挙にヨーロッパをやっつけてしまおうという準備をしているに違いないのです。それで狙い所は、なんといってもイギリスです。イギリスを占領することを目標にしているのです。ですからどういうことになるかというと、これからアイゼンハゥアーが朝鮮問題を解決しますが、そこでまたおもしろいのは、朝鮮問題を解決するにも、戦線を拡げない主義でやるということがナンセンスてす。つまり北鮮をやっつけるということは中共をやっつけなけれはならないので、北鮮だけということは駄目てす。そこで中共をやっつけるということは支那全土を攻撃しなければならないのです。そうすると戦線を拡げないで中共をやっつけるということとは両立しません。ですからこれに対して、イギリスなとが戦線を拡げないようにとアメリカに泣きついてますが、その意気地がないというか、先が見えないというか、あれだけのイギリスが実に情けないくらいです。そこで中共をすっかりやっつけるまではアメリカもたいへんな消耗をしますから、さすがのアメリカも一時は力がよほど弱るということになりますが、スターリンはそこを狙っているのてす。そうしてヨーロッパにかかると、アメリカはそれを助けようと思っても力が足りないから、とうしてもヨーロッパはやられてしまうということになります。スターリンの肚というのはそこを狙っているのです。そうかといって中共に、いままでのトルーマンのような封じ込み戦術をやっていては、ソ連のほうは、人的資原は中共にうんとあるから、ほとんど一兵も損じないで、ただ武器だけをやっていればいいのです。そこで気長にやられると、アメリカのほうはどんどん消耗しますから、いつまでやっていても片がつかないし、それではアメリカのほうが損ですから、そこでどうしても一遍に解決しなければならないというのがアイゼンハゥアーの真の目的です。だからどうしてもアイゼンハゥアー式でやらなければならないのです。いままでのトルーマン式ではしようがありません。それでアメリカの国民もしびれを切らして、一つうんとやっつけてもらおうというわけてす。そこでうんとやっつければヨーロッパのほうがお留守になりますから、そこをソ連は狙いますから、アメリカとしてもたいへんな局面にぶつかっていくわけです。
▽次節に続く▽