昭和二十八年二月一日 垂録 (2)

(前節から続く)

【 明主様 】『アメリカを救う』の本について、地方でなにか参考になる話はありませんか。もっともまだあんまり読んでいないでしょう。批評というのは、そうとう日がたってからでしょう。

 

〔 質問者 〕田付さんが申しておりましたが、内容はアメリカだけでないから、『世界を救う』とおつけになられてもよろしかったのではないですか、と申しておりました。

【 明主様 】そうです。それは分かっているのですが、『世界を救う』では名前が大き過ぎて、かえって刺激が弱いのです。しかもいまはみんなアメリカの文化を崇拝してます。特に日本はそうです。化粧品に至るまでそうです。「これはアメリカでできたクリームだ」とか「この薬は、なんでもアメリカでできた薬だ」という具合ですから、それを叩くには『アメリカを救う』でなければおもしろくないのです。拝んでいる一番の元を救うというのですから、それでこっちが上になります。『ソ連を救う』も書きたいのですが、書いても、あの人たちの頭では分かりませんから、まあソ連を救うのは最後です。しかしソ連を救うということは不可能かもしれません。ソ連はどうせ亡びるよりほかにしようがないでしょう。つまりなくなるわけです。それでソ連の民衆は救われるのです。

 

〔 質問者 〕「二十一世紀」の御論文には「そのときはソ連という国名はなかった」とございました。

【 明主様 】そうです。共産主義はなくなってしまいます。それはきれいになくなってしまいます。そして共産主義以上のものが別にできます。共産主義はなぜなくなるかというと、根本が悪だから、悪のものはどうしても亡びなければならないのです。もし悪が成功したら、神様はないということになります。

 共産主義でも、まだ知らない深い所があるのです。それは共産主義がある邪神に踊らされているのです。それを自分では知らないのです。それは二〇〇〇年以上前にマッソン秘密結社をつくったあの邪神で、そこで文化民族すなわち世界を支配すべき民族をやっつけるには、これを弱らせるよりしようがないというので、その計画のもとに考え出したのが薬です。それで毒を薬のように見せかけて瞞して人間に服ませたというので、これが邪神の根本的の計画です。それで、とにかく二〇〇〇年かかって、御注文どおりにヨーロッパはほとんど弱らせたのです。それでいままだピチピチしているのはアメリカだけなのです。そこでヨーロッパはひとたまりもなくやっつけることができるから、そうしておいて、いっぽうそれをやっつけるほうは体の丈夫な奴をうんと訓練して、つまりそういう民族をつくらなければならないので、ソ連というのはそれなのです。そこで労働者というものをああして集めて、それに非常に猛烈な訓練をして、要するに奴隷に教育して、ヒョロヒョロになった文化民族をやっつけて、世界の覇権を握るという計画です。それで英、仏の国民はもうフラフラになっているのです。なにしろフランスは前の戦争のときには一二〇個師<師団>あったのが、いまは七個師しかないのです。それだけしかできないのです。それから英国は食糧が不足して、食うや食わずでいるのです。そして百姓は農業をしないのです。つまりそれだけの労働力がなくなってしまっているのです。だからいまヨーロッパをやっつけるのはわけはないのです。そこでスターリンは、ヨーロッパをやるとするとアメリカが手伝うから、アメリカの力を弱らせなければならないので、まず中共を使って、東洋では朝鮮戦争を拡げてアメリカの消耗戦術をやっているわけです。ところがアメリカは、消耗戦術でやられていては、いつまでたってもアメリカのほうの損害はあるし、軍備からいってもソ連のほうはだんだんプラスになってくるから、そこで断乎としてやっつけなければならないというのが、今度のアイゼンハゥアーの計画です。そうするとソ連はこれを喜んだのです。思う壷なのです。あいつは実に智慧があります。智慧だけはすばらしいものです。しかし芯は馬鹿です。そうして今度アメリカが中共をやっつけると、ソ連は蔭からいい加減援助して、自分のほうの損害のないように物資とか金を出して中共にやらせると、そのためにアメリカはやっぱり消耗しますから、そうしておいてヨーロッパを一挙にやっつける計画です。それにはまず英国を占領するのです。それで、つい最近フィンランドの辺に飛行場をうんとこしらえてますが、これはつまりヨーロッパのほうをやるときのその用意固めです。ですから英国がいずれソ連に占領されてしまうと、ヨーロッパはぜんぜんソ連の勢力範囲になります。そうすると日本はびっくりして「ヨーロッパが占領されたから、日本もいつやられるか分からない」とブルブルガタガタが始まります。そこで疎開したり、いろいろ準備する者もずいぶんあるでしょうし、ほうぼうに穴を掘るのも始まるでしょう……つまり墓穴をです。けれども中共はアメリカが占領してしまいます。そこでソ連がヨーロッパを占領して、今度はアジアにふっかけてくるだろうというわけで、アジアの防備ということをずいぶん騒ぐでしょう。ところがソ連のほうは、そういうようにアジアをやりません。英国を基地としてアメリカの攻撃を始めるでしょうし、いっぽうアラスカのほうからカナダに向かって進撃して、アメリカを挟み撃ちにしようという計画がたっているのです。そこでこれが第三次戦争です。今度朝鮮をやるけれども、ことによると原子爆弾を使うだろうと思います。アメリカではその準備をしているのです。そうなれば日本は再軍備もヘチマもありません。国論が一致して、軍備をしなければならなくなります。そこは吉田首相はよく見てます。国論が一致しなければ憲法は改正しないと言ってます。まあ、いよいよ今年から本舞台にはいってきますが、われわれはチャンバラ劇のすばらしいのが始まるのを見物できるわけです。

(次節に続く)

「『御垂示録』十七号、岡田茂吉全集講話篇第九巻p9~12」 昭和28年02月01日