教集18 昭和二十八年一月十六日(3)

▽前節から続く▽

 それからもう一つは白隠禅師の話ですが、当時の立派な名僧智識としてたいへん崇拝されていた坊さんです。それが土地のたいへんな豪家の娘に恋人ができて妊娠したのです。それで本当のことを言えば、親にどんなに酷い目に遭うか分からないというので嘘をついて、相手はだれだと言われ、白隠様だと言ったのです。それで親父は、白隠禅師といってたいへんに偉そうにしていてそんなことをするとはとんでもない、あんな者を寺の住職だなんてとんでもないと追放したのです。それで乞食坊主になって、その辺を托鉢<たくはつ>していたのです。ところがなにかの動機で娘が本当のことを言ったのです。実はこういうわけで苦しまぎれに禅師様に罪をきせたので、申し訳なかったと言ったのです。それから親父は無論のこと村中の評判になって、いよいよ名僧として有名になったという話ですが、これはみんなよく知っているでしょう。

▽次節に続く▽

「『御教え集』十八号、岡田茂吉全集講話篇第九巻p363」 昭和28年01月16日