▽前節から続く▽
それからもう一つは、これも有名な話ですが、当時たいへん有名な坊さんで白隠禅師という人がいました。ところでその当時のそうとうな商人の娘が妊娠したのです。それで娘は、本当のことを言うと親がなんと言うか分からないというので、それを怖れて口から出まかせに白隠様だと言ったのです。それで親父が怒って、あんな立派な名僧がこんなことをするとは、とんでもない生臭坊主だというので、檀家を集めて相談の結果追放したので、白隠は寺から出て宿無し坊主になって、さんざん苦労をして流浪したのです。ところがそのうちに娘が本当のことを言ったので、それはたいへんだというわけでふたたび鄭重<ていちょう>に迎えられて、以前より偉い坊さんだということになったのです。
▽次節に続く▽
「『御教え集』十八号、岡田茂吉全集講話篇第九巻p359 説明:」 昭和28年01月15日