昭和二十七年七月一日 垂録11 (6)

〔 質問者 〕益田さんはまだ持っているので。

【 明主様 】博物館に出しました。だから去年なんかも博物館で展覧会がありましたが、どうも良い物はないです。外国で蒐め始めたというのは、肉筆は見る機会がなかったからです。大名がしまって見せなかったからです。版画だけは市中に出てましたし、安いから買い良いですしね。

 

〔 質問者 〕家庭に保存して出さなかったということは、見せたくないということもありますが、出しておくと悪くなる。それに外国に持って行って見せるということは傷みますから。

【 明主様 】それならまたいろんな方法もあるし、短期間やるとか、なんとかすれば良い。それは、ほんの口実で、実は見せたくないんです。

 

〔 質問者 〕博物館では、掛物一つ掛けるにも扱いが悪いので、見せたくないという封建的なことになりますが。

【 明主様 】やっぱりそれがあります。絵ならそうですが、蒔絵とか陶器とかは、なんでもない。一〇〇年置いても、なんともない。だからそういうものを出せば良いが、出さない。そういう懸念があるのは絵だけでしょう。あれは褪色したり、皺ができたりがあります。私の所でも、掛物だけは、どういうふうにすれば一番良いか研究するつもりです。

 

〔 質問者 〕博物館でやるのはハラハラするそうで。

【 明主様 】心得を持たなかったり、趣味がなかったりするし、お役でやりますから……それはあります。それに博物館は予算がなかったのでね。

 

〔 質問者 〕ものを見せて自慢したいというのと、人に見せないで自分だけというのは、本霊と副霊の。

【 明主様 】それほどやかましいものではないが、それは独占欲です。つまり独占の一番強いのは男女関係でしょう。だから支那人は自分の夫人を人に見せないようにしていた。それからトルコ人が夫人の顔を見せないようにしていた。これは独占欲のごく極端なものでしょう。

 

〔 質問者 〕二階の髭の生えた像は非常に褒めてましたが。

【 明主様 】インドのガンダーラといって二〇〇〇年くらい前のものです。あの時分にああいうものができたんです。あれほどの名作はないです。あれと同じものが大英博物館にありますが、あれよりもっと年取ってます。ここにあるのが、ずっと美男です。それを知っている人は褒めます。おそらく世界にないでしょう。実に良くできてます。インドのガンダーラという所でできたものです。もう一つは石の首があったでしょう。あれは良いものです。支那の大同の石仏というのがありますが、あの時代にできた最高傑作です。何年くらいになりますか、いま調べてますが、そうとう古いものです。良くできてます。

 

〔 質問者 〕どこから掘り出してくるのか、良いものがありますね、と言っておりました。

【 明主様 】とにかく日本という国は不思議な国です。

「『御垂示録』十一号,講話篇第六巻」 昭和27年07月01日