〔 質問者 〕布教者の立場といたしまして、メシヤ教を再認識して帰ってくれることが一番嬉しく思います。
【 明主様 】そうそう。新宗教に対して一番誤解している人に向かって、美術館は一番でしょう。さもなければ、ああいう人たちには効きっこないです。入ろうとしないです。やっぱり、ああいった専門なり学者というのは局部的で、全般的に見る人はほとんどないです。昨日の中村勝馬という画家が牧谿の双幅を非常に褒めてましたが、あの人は宋元画では、あれが一番良いんだ。宋元名画集でも牧谿のあれが一番好きで、今度本物を見せてもらって実に嬉しいと言ってましたが、やっぱりそれは間違っていないんです。吉屋信子なんか九谷が一番好きだそうです。一番最初に陶器を好きになるのは九谷なんです。それから進んで行くと支那陶器になる。それから本当に良いのは仁清ですが、仁清というのは世の中にないから、そこで世の中の人は知らないです。仁清は日本陶器としては一番です。ですから、仁清を出したんです。
〔 質問者 〕仁清の茶碗は褒めております。
【 明主様 】あれは有名なものです。仁清の茶碗ではあれが一番です。
〔 質問者 〕花車を引いているものというのは、変わっているので珍しがりますが、やはり茶碗が一番で。
【 明主様 】そうですね。仁清の壺があると良いんですが、壺がないんですよ。
〔 質問者 〕得意なのでしょうか。
【 明主様 】得意というほどではないが、大きいから見応えがあります。壷の良いのは、博物館の梅の壷です。長尾美術館の藤の壷、根津美術館の京都の吉野山の風景。この三つが良いんですが、これは買うことはできないんです。長尾のは一時売るような話でしたが、あれを売っちゃうと呼び物がなくなっちゃうんです。ですからどうしてもあれだけは離さないです。ですから壷さえあれば、この美術館も天下無敵です。仁清の水指があったでしょう。あれでもたいしたものです。仁清と乾山は世の中にあんまりないので、みんな見ないから趣味が湧かないんです。乾山の鉢なんか見てくれなければしようがない。吉野山、立田川とありますが、あれがたいしたものなんです。まだ、九谷や柿右衛門、鍋島を見る人は、陶器のほうも素人からやっと、なにしたくらいです。博物館に行っても、仏とかそういうものは知っている人がありますが、ああいったものは、まことにないです。見る所がないです。光琳、宗達はまだいろいろありますが、いずれ琳派展をやりますから、いまみんな出さないで、なるべく出さないようにして取っておくんです。光琳なんかでも、まだすごいものがあります。去年博物館で開いたときは、ずいぶん人気を呼びました。あのときはマチスと一緒でしたが。
文化財保護委員の藤川さんという人に琳派展を話したら、博物館のものなら、どんなものでも自分が世話するからと言ってました。
〔 質問者 〕木曾川上流の日本平に、乾山焼というのがありますが、字は違っております。
【 明主様 】それは模倣物です。乾山の弟子とか、何代目とかいうのが、そこで焼き始めたんでしょう。初代の本当の乾山は、京都と江戸の根岸です。他にはないです。
〔 質問者 〕栃木県に。
【 明主様 】そんなのは聞きませんね。
〔 質問者 〕栃木県の土を使ったと。
【 明主様 】栃木県の土を使ったのでしょう。焼いたのは根岸です。
〔 質問者 〕鴬谷の。
【 明主様 】そうです。その子孫ということになっているんですか……とにかく縁はありますが、乾也というのがあります。明治時代に、根岸でやっていて向島に越して、乾山風のものを作った。簪玉が上手くて、乾也玉といって、明治時代には非常にはやったものです。古い女の人は知っていますよ。乾山は、学者が研究した結果間違えて、色を使ったのは乾山じゃないという説になって、博物館もその説を信じて、乾山の色絵物は博物館で出さないんです。いまもって黒絵だけでしょう。近来になって、それは間違っているというので、だいぶ色物のほうに傾いてきましたが、いまとなっては、そういうものは博物館の手に入らなかったからないんです。黒いものは、いま私の所にいろいろあります。今度の琳派展のときに取っておきます。いつか北原君の所から持ってきたんです。まだ持っているんですか。
〔 質問者 〕どうでございましょうか。お茶席のお菓子皿で、とてもよろしいのがございましたが。
【 明主様 】あれは良いです。
〔 質問者 〕今日、西洋人が一〇人ほど来ることになっておりましたが、断ってきたそうです。やはり日曜でなければ駄目だそうです。
今度日曜日にお招びになられましては。
【 明主様 】そうですね。あっちの人は几帳面ですからね。
〔 質問者 〕それに朝鮮問題が紛糾しておりますので。
【 明主様 】そうですね。そのうちに機会を見て。
〔 質問者 〕フランスとイタリアの大使館は来ることになってましたが、非常に好きだそうです。
【 明主様 】いずれ来ますよ。それに評判を聞くでしょうしね。
〔 質問者 〕昨日、今日の鑑識家が帰って評判になります。みんなたいしたものではないと思ってきたようです。長与さんとか谷川さんという人は褒めるものではありませんが。
【 明主様 】そうそう、悪口のほうです。かえってそういう人たちのほうが張り合いがありますよ。
〔 質問者 〕また、褒めるとなると馬鹿に褒めます。
【 明主様 】それが本当かもしれないです。われわれだって世の中に褒めるものはあんまりないですから……。現代の絵なんていうのは、私は褒めたくも褒める所がないです。
〔 質問者 〕とにかく、あの人たちが日本一という折紙をつけてくれます。今度は世界一に。
【 明主様 】世界一ですね。熱海にできれば無条件で世界一です。それから藤川さんが話していたが、アメリカでも、そう大きいのはないそうです。私はアメリカだから大きいかと思ったら、たいていこのくらいだそうです。それにアメリカでもイギリスでも特殊なものです。支那のものと言えば陶器、銅器。日本のものは版画か光琳の贋物。蒔絵の怪しげなもの。日本陶器はほとんどないです。イギリスでも、仁清は少しありますが、その仁清も怪しいものです。日本のものとしては版画だけでしょう。版画は日本以上です。ボストン博物館はたいしたものです。