昭和二十七年七月一日 垂録11 (4)

〔 質問者 〕絵なんかにはいろいろな議論が出てましたが、陶器類は非難の声は聞かず非常に褒めてますが、特に力をお入れになられたのでございますか。久志さんは非常に褒めてました。

【 明主様 】あの人はその点は良く分かります。支那陶器を褒める人はたしかです。他の人は分からないんです。けれども、あれほど分かっていても青磁は分からないです。青磁というのは難しいです。日本に青磁の分かる人はないです。みんな意見が違います。今日来ることになってますが、小山冨士夫という人、それから尾崎洵盛。尾崎さんが一番なんです。小山さんがその次で、久志という人が三番目なんです。尾崎さんと小山さんは、鑑識において、いくらか専門は違っているんです。久志という人と小山さんが、去年あたりから非常に喧嘩しているんですが、小山さんが負けそうなんです。どっちも支那の陶器や窯を研究してます、やっぱり天狗ですが……。支那の窯だけ研究しても分からないです。たいへんに数があるんです。

 

〔 質問者 〕良いなと言う後に非常に理屈がつくのです。

【 明主様 】そうです。それで断定ができないんです。だから一致する意見というのはないです。他のものはあっても、青磁だけは合わないです。それだけに青磁は難しいんです。しかし一番良い青磁の香炉……あれだけは非難する人は一人もないです。みんな恐れ入ってます。だから、やっぱり本当に良い物はだれでも頭を下げます。あれは世界一です。支那陶器の中で、世界一の物がいくつもあります。青磁の良いのは米国や英国にもないです。私くらいのものです。英国のデイビッドなんかは、青磁は大いに自慢しているようですが、それがみんな若いです。明以後のものです。私の所は青磁はほとんど宋です。

 

〔 質問者 〕難しいのか、良いなと言って理屈は言いません。

【 明主様 】分かる人はないんですから。

 

〔 質問者 〕一休のは。

【 明主様 】一休は最初から駄目なんです。一休の肖像が画いてあって、その隣がちょっとたいしたものですが、私は気持ちが悪いので変えちゃいました。今度はちょっと良い物を出しました。道風の継色紙というのを出しました。古筆もあんまりなかったのです。しかし、そういうふうに見てくれるという人があるということは、張り合いがあります。

「『御垂示録』十一号,講話篇第六巻」 昭和27年07月01日