昭和二十七年一月二十六日 教集06 (7)

〔御伺い〕 S・M(二八歳)。七年前、妊娠四カ月のとき原子爆弾に遭い、家の下敷きとなりましたが助かり無事出産し、実家に帰って子供を養育し、一年四カ月目に亡夫の両親の元に渡し離婚いたし、その後市内の洋裁店に務め、職場の先生より求婚されましたが、その人が「トウビョウ」の家系らしいというので、それを苦にして退職し別の所に務めましたが、一カ月も過ごすことができず、家に帰ろうとして駅に出ると、わけもなく恐怖感に襲われ、汽車に乗ることもできず、近くの祈祷所でみてもらうと、その先生より、執着のために「外道」をつけられているから、落としてあげるとのことで、祈祷してもらい駅に出ると、今度は白シャツに白ズボンの男が目にちらつき、身に危険を感じ、どうしても汽車に乗れず、次の駅まで走り、思いきって飛び乗り、目的駅に着きましたが、またもや四、五人の男の姿が前後に現われ、家に帰れないので知人に送ってもらいました。一週間後に非常な恐怖に襲われ、その先生よりもらった衣類に執着がつけられていると言うので、全部焼き捨て煙で自分の体を燻したり、あるときは何者かが大勢押し寄せてきて、皆殺しにするから、みんな外に出てくれ、刃物は全部隠してくれと言ったりいたします。またいろいろの神様にもお参りしましたが、だんだん重くなり、二四年四月、精神病院に入院させました。二五年母親が入信。その後主人、息子も入信、信者数名を導き、光明如来様をお迎えいたすべくお願いいたしております。病院では、婦長さんがお道を理解し、御神書も拝読し、薬などはいっさい使用いたしておりません。ただ、以前電気治療を四〇回くらいかけております。現在では、会話はほとんど平常と変わりませんが、時折着物や夜具を破るそうです。なお「外道」とは犬神だと言う者もあり、「トウビョウ」とは家の中に水瓶のようなものに蛇をたくさん飼っており、一種の信仰のようなもので、それを祀る家人が他人の持ち物などに執着を持った場合に、知らぬ間にその物がなくなったり腐敗したり、当人が精神病のようになったりすると言われておりますが、霊的にいかがなものでございましょうか。また、こういう人をお導きいたしますには、いかがいたしましたら、よろしゅうございましょうか。

【 御垂示 】 これは、やっぱり狐なんですよ。これは狐がよくやるやつなんですよ。恐怖感を与えるんですね。そうして、襲ったりする人間を見せるんですね。この通りなんですよ……狐が驚かすやり方はね。そうしてだんだんやって、本当の精神病に……このときは精神病になりかけなんですがね。

 私の本に……いつか書いたことがありますがね。Iという男でね……これは聞こえるんですよ。「I、いまお前を殺しに表に来ている」と言うんです。Iという男は、それで震えているんですよ。これは聞こえるんですよ。それから、黒いものなんかが襲ってくることがありますね。これはだんだん少しずつ良くなります。こういうのは、急には良くなりません。

 犬神……蛇……とか、そういうものじゃないですね。この人は、やっぱり後頭部のほうに固まりがありますから、そこを浄霊してやるんですね。婦長が理解しているというんだから、御神書を本人に聞かせるんです。そうすると ……御神書を聞かせるというのは、霊に聞かせるということもあるし、その人の曇りが取れていくので、邪霊はだんだん萎縮していくということがあるんです。そうして気長にやってやれば、だんだん治っていきます。しかし、そうとうに長くかかります。まあ五、六年とみて良いですね。大丈夫と言うまでには、どうしても一〇年くらいかかりますね。精神病が早いと、割合治るのは早いんですがね。これは、そうとう固まっていますからね。

「『御教え集』六号,講話篇第六巻p428~430」 昭和27年01月26日