△前節から続き△
そういう話はそのくらいにしておいて、昨日箱根に行って美術館を見てきたんですが……おかしいんですよ。私が「今日箱根に行こう」と言い出すと、すぐに曇ってきて雨が降ってきた。どうしても箱根に行くときには雨が降るんですよ。これはいつも言う通り、箱根は火ですからね。火は水によって火力を増すんですから……そこで、非常に結構なことです。それが、あまりにはっきりしているわけですね。このことは、私の身体でもそうなんです。私は、いまでも湯に入りますが……入ると、私はぬる好きですから……そうとうぬるいんです。ふつうの人より、びっくりするくらいぬるいです。そうして出てからどうしても、裸で一時間いなければ熱くてしようがない。着物を着られない。なぜかと言うと、私の腹の中に、光の玉ですね。つまり火の玉です。これがやっぱり身体全体に光がありますから、湯に入ると、その水分によって熱を増すんですよ。それで熱くなるんですね。それと同じように、つまり箱根は、要するに水力がなくちゃいけない。大いに火力を強めるためですね。それで雨が降る。こういうわけなんです。美術館も、だいたい骨組みだけはできて、あとは壁を塗ればできるくらいのものですがね。なにしろ、ああいう建築は割合簡単ですからね。始末は良いです。いろんな、ややこしいことがないですからね。で行って中を見て驚いたのは、あんがい広いんですよ。そうたくさん陳列できないかと思っていたところが、どうしてどうして、なかなか品物がたくさん陳列できるんです。ですから、すっかり陳列したら、無論日本一ですね。みんなびっくりするわけですね。で、堂々たるものです。私はあんなに立派になろうとは思わなかったですね。中に入ってみると、個人……個人て、教団ですけれども、ちょっと政府とか市とか……そういうもので建てた建築みたいに思われるんです。実に堂々たるものです。それで、部屋の取り方やなにかですね。そう……非難したり、欠点がないんですね。ちょうど良いくらいです。そんなわけで、私も非常に満足したんですが、今度は……建築は良くても、肝腎な、中身ですね。これが良くなくちゃいけない。中身も、やはり神様がやっておられるから、非常にうまく行く。すばらしい物が並べられるんです。これは、なかなか……買いきって……陳列するとたいへんな金ですから、それはできないけれども、つまり偉い……元の財閥とか、それから華族とか……そういう人たちがあって、みんな有名な品物ですから……売ると、すぐ税金にかかわったり、信用にかかわるんですね。あそこの家は、あれを売るようじゃ、もう駄目だと、信用にかかわるから、売るということもできない。そうかといって、金は欲しくてしようがない、という家がたくさんあるんです。そこで私は、売らないで、いくぶん金を出すんですね。そこで、損料を支払って、美術館ができたら、借りるというようにすると、非常に具合が良いんですよ。で、いまそういうような話を進めていますがね。そうすれば、先方も出品するんですからね。なにも差し障りないんです。それも、設備の悪い、怪しげな家では、名誉にかかわるから具合が悪いが、こっちは、いささかもひけ目はないから、むしろ喜んで応じるだろうと思います。それから京都、奈良のお寺でも、財政に困っている。そうかといって、寺の物を売るわけにもいかないで困っている。そういう所も、そうとうなお礼をして借りるということも、割合うまくいきそうなんです。ですから、そういうような具合にして、ふつう見られないような品物を、できるだけ陳列するつもりです。できあがったら、日本中の評判になると思ってます。今年の教団の大きな仕事の、最初の現われとしては美術館ですね。これはいずれ熱海にできる。もっと、ずっとすばらしいものです。箱根はその一つの見本のような……試験的のような意味で造ったんですが、それでさえ、いま言ったような具合ですからね。いずれ熱海にできるのは、これは世界的なんですね。外国にもないようなのを造ろうと思ってます。しかし、これはなかなかたいへんな金ですからね。いよいよとなる前に、神様がなんとかするだろうと思ってますがね。しかし、こういうことも、これはふつうじゃそんなことは言えないですね。たいへんな金を、そのとき神様がなんとかするだろうと、そんなノンキなことを言っていられない。ところが、そういう点は安心なもので、必要のあるときは神様がちゃんと、金の入るようにしてくれますから……そんなわけで熱海のほうも、できるような……敷地ですね。敷地なんかが、みなさんは始終行って見られているでしょうけれども、なかなか規模が大きいんですからね。非常に暇がかかるんですよ。人から見ると、早い早いと言いますが、私から見ると、なかなか暇がかかる。仮に、いまやっているのは「ツツジ」の山ですが、植木屋が急いで「ツツジ」を植えちゃったんですが、見ると、どうも山の形が気に入らない。それでしようがないから、抜いて一時仮植えして、山の形を直そうと、いまこしらえにかかってます。そんなような具合で、思ったようにやるのは、なんだかんだ……いろんな、思いもつかないような手間がかかる。ところが、それがだんだんできてくるんです。熱海のほうの敷地だけできるようになるのに、かれこれ今年いっぱいはかかるんじゃないかと思いますね。早くて八月あたりですね。それから、桜の山を作るんですが、これは来年以後になるでしょう。今年では、まだ手をつけられないようです。辛いそういった、そのほうの土地は約束はできてますからね。いまの桜の山も「ツツジ」の山よりずっと大きいんです。何倍という大きさです。規模も、いまでも大きいですが、神様はなかなか大きいんです。それから、大きい……いろいろ計画されるんです。実に、微妙というか、おもしろいというか、それはどういうわけかと言うと、隣なら隣の地所を買ってくれと言ってくるんですよ。そうすると、それが手に入ると、なるほど良い形になるというような……そういうことが始終ある。ですから、まず敷地があらかたできて、最初メシヤ会館が、それから展望台と、それから祭典のときやなにかの準備する所ですね……役員なんかがね。そういう所を、展望台の後ろに造ろうと思っている。展望台に、一番最初私の住居をこしらえるつもりでしたが、私の住居をこしらえる所は、別に良い所が見つかりましたから、祭典の準備をする所にと思っている。そんな具合で、会館と展望台は一遍にできちゃうと思う。展望台のほうは造作ないですからね。ただ、ガラスの半円形のものを造るだけですからね。それが一段落して、美術館のほうになる。そんなこんなで、早くて来年の暮れあたりになるが、それまでに敷地を充分準備しておこうと思っている。まあ、そういったような、今年の仕事の概略です。
▽次節に続く▽