昭和二十六年十月一日 『御垂示録』三号 (2)

 ついこの間までは寒くて震えていたが、こっちに来ると暖かいね。わずか一時間足らずで行ける所で、気候が違う。実にすばらしいです。ふつうの所でこんなに違うというと、秋田県か青森県から四国に行かなければならない。二〇〇里から違う。
  

〔 質問者 〕九州からまいりまして、かえって暖かいことがございます。

 それでは台湾くらいですね。
  

〔 質問者 〕寒さは山形くらいのようでございます。

 山形と九州ですね。そうすると三〇〇里くらいあるかな。

 この地形というのは実に不思議ですよ。うっかりしてますがね。
  

〔 質問者 〕強羅におりまして、他に行ってみると、濁っているのが良く分かるようでございます。

 あそこにいるとどこにも行きたくないですね。他に行くと汚くて汚くて……目立って汚いからね。

 熱海では、地上天国の所が一番景色が良いですからね。私は熱海に来たときずいぶん研究したが、どうしても、伊豆山と熱海の間で……これが一番良い。今度ああなってから……昨日行ってみたら、景色が違ってきている。

  

〔 質問者 〕伊豆山とこっちと言いますと、五と三になっているわけで。

 そうですね。五と三ですね。
  

〔 質問者 〕三月ぶりで拝見させていただきましたが、驚きました。

 まだ……変わりますよ。あの奥のほうはすばらしく変わります。そこにメシヤ会館を造る設計ですが、なかなか難しい。ずいぶん、建築のほうは世界的にする。建築なんとかと言う雑誌があるんですが、アメリカあたりで……コルビュジエ式ですね。ずいぶん奇抜なのがありますがね。会館、美術館のほうはアッと言うような物をこしらえようと思う。アメリカあたりでは、大胆な建築がありますね。ずいぶん凹凸の激しいのがね。あれができたらびっくりするだろうね。熱海のほうは再来年までにこしらえる。熱海のほうができたら世界中の人が日本に見物に来るのがずいぶんあります。日本に来たら、日光を見なくても、こっちを見なくては、と言う……それだけのものを造るんです。建築も、支那や日本の古代のお寺臭いのでなく、そうかと言って、現代のコルビュジエ式でもない……どっちでもないのを造らなければね。

「『御垂示録』三号、岡田茂吉全集講話篇第四巻」 昭和26年10月01日