昭和二十六年六月二日 『御垂示録』六号(6)

 --芸術は言葉をもって表現されることがあります。そういう意味から申しますと、日本人の言葉は優秀性に富んでおりますが、昔の純粋の大和言葉が良いのでございましょうか。それとも新造語のほうでございましょうか。

 いや、それは違う。七十五声完全に言えるのは日本人の言葉です。本居宣長が発見したんです。天井に紐を吊って鈴をつけて、七十五声を鈴で型取った。その家を「鈴の屋」と言ったが、有名なものです。そこで、言霊の研究をした。だから、言霊というのは一つ一つ意味がある。

 それで、一つ一つの綴り方によって、善の働きと悪の働きをする。これは別になんでもない。良いことを言えば善の働きをする。悪い……泥棒しようとか、ぶんなぐろうとか言う言霊は悪い意味になるでしょう。悪い意味になると、人間の耳に入っても良い気持ちはしないです。あの人を良い気持ちにしよう、とかは霊界に……霊界と言ってもいろいろある。言霊界に言葉は響く。それから考えですね。良い考え、悪い考えですね。それは想念界に影響する。これは言霊界より、もういっそう深い……密度のごく濃いわけですね。だから、気持ちを想うだけで霊界が違っちゃう。そこで、良い言霊を使う。そこで御讃歌とか祝詞とか良い言霊を使ってある。良い言霊と言っても、読んでスラスラと感じが良くなければならない。良い言霊でも、感じが良く、柔らかく、滑らかに、いかなければならないですね。

そうすると、日本の仮名書きなんか、ごく上等になっている。

「『御垂示録』六号、岡田茂吉全集講話篇第四巻」 昭和26年06月02日