昭和二十六年五月二十日 『教えの光』(宗教、科学、哲学、芸術)(24)

御伺い 七福神について。

御垂示 これは伝説的なもので、はなはだ曖昧きわまるものである。いろんな説や解釈があるが、要するに日本、支那、インド三国の著名人を集めて古人が作ったものであろう。毘沙門天とか、弁財天とかすべて何々天というのはインドの位である。

 毘沙門天はインドの武神で一名多聞天ともいう。弁財天はインド名であるが古典によれば素盞嗚尊から生まれた三女神の中の市杵島姫命という日本の女神である。

 福禄寿は一名外法とも言い、寿老人も布袋和尚などもともに中国人であろう。

 大黒天についてははっきりしていないが、インド人には違いない。出雲大社では大国主命を大黒天と称しているが、これは昔営業政策から流説したものであろう。大国主命は素盞嗚尊の長男で大黒天とは関係がない。伝説によると、神代において天照大神が日本を統治なされたとき、インドから渡ってきた豪傑があって、大神になにかに使ってもらいたいと言うたところ、まことに無愛想な顔なので大神は「そんな顔ではとても使えない。もっと優しい顔にならなくてはいけない」と申されたので、それからはニコニコ笑顔になったので使われることとなり、金銀財宝を扱う役をおおせつかったということで、すなわち現代で言えば大蔵大臣である。これはおもしろい伝説だと思う。

 恵比須というのは蛭子の尊といわれ、骨なしということになっている。天照大神の息子で毎日釣りばかりして遊んでいたということである。骨なしとは要するに気骨のない人間という意味であろう、とにかく真偽は不明であるが、なにか意味がありそうに想う。

 また恵比須様は釣竿と鯛を持っているが、鯛は魚の王であるから、海の幸を表徴したものであろう。

 恵比須様に対して大黒様は槌を持っている。槌は土に通ずるゆえ、槌を振ることは土の幸を産み出すという意味で、要するに海と山との宝を出す、これが恵比須大黒の本当の意味だと思う。

 元来観音様は高位の仏なるがゆえに、人を浄めたり、邪神を祓ったりして御救いくださることはなされるが、金銀財宝などの物質的御救いをされる場合、大黒様に扱わせ給うのは事実で、金銀を集める力を大黒様に与えられるわけである。それで観音様の前に大黒様をお祭りするので、そうすると不思議に物質が集まってくる。

 これについておもしろい話がある。以前私が宗教人となった最初のころ毎月赤字が続いたことがあった。するとある銀行員が大黒天像を持ってきてくれたのでそれを飾ったところ、その月以来黒字が続くようになったので、私は興味を持ち大黒天像を集め、一時は五〇くらいもあったが懇望されるまま人に与えたので、いまはほとんどない。その後特別大きい大黒様が手に入ってからは予想外に金が入るようになったのである。

 不動銀行の頭取、故牧野元次郎氏は有名な大黒信者で、自分は大黒様の生まれ変わりのように思っていたそうだ。大黒様の夢のお告げで関東大震災の前に三〇〇〇万円もの公債を買い、日本銀行へ預けた。ところが震災のとき他の銀行は支払いを停止したのに対し、不動銀行だけは右の公債を現金化してドンドン支払ったので大いに信用を博して、同業者間に頭角を顕わしたという話を聞いたことがある。

「『教えの光』、岡田茂吉全集講話篇第五巻p303」 昭和26年05月20日