御伺い 人間往生すると北枕に寝かし、着物を左前にしたり、逆に掛けたり、逆さ屏風にしたり、死体の上に刀を置いたりする習慣になっていますが、これはいかなるわけでしょうか。
御垂示 元来方角からいって北は霊、南は体である。人間が死ぬと霊になるので、北へ向かって往くのが本当である。往生するとき、天国へ往く霊は額から、地獄界へ落ちるのは足の親指から、八衢へ往くのは臍から、それぞれ脱出するのであるが、天国行きの霊は少ないことは勿論で、とにかく天国へ行くようにという意味から北枕にするのである。そうして方角のうち北が主で一番位が高く霊気が濃いのである。
北とは言霊学上気足で、すなわち霊が満ちていることで磁石が北を指すのもそのためである。従って、体は南へ、霊は北に属する。これが原則である。故に生きた人間とても北枕にしたほうがよい。昔から頭寒足熱というが頭を冷く、足を温めるわけで、私は昔から北枕にしている。しかし北枕がいいといっても床の間が南になっている場合は不可である。死者に着物を左前にしたり、逆さに掛けたりするのは現界と霊界は逆であるからで、すべて反対が理屈に合うこととなる。
刀は魔除けのために置くので、死人を魔が狙うとか、猫や邪霊などがいたずらをするというわけだがそんなことはないので、これらは生きてる人の気慰めにすぎない。
「『教えの光』、岡田茂吉全集講話篇第五巻p329」 昭和26年05月20日