昭和二十六年五月一日 『御垂示録』六号(10)

〔 質問者 〕大和民族の特徴は平和愛好で、芸術を好むとお教えいただきましたが、そういったふうに、出雲系天孫系の特徴をお伺い申し上げます。

【 明主様 】 それは出雲系は……素盞嗚尊は月だから、「ツキ」というのは突くと言うのです。ですから、刀なんか月の形になっている。「ツキ」というのは突くと言うことで、征服すると言うのは「ツキ」の働きです。いまの文明は「ツキ」の働きです。ボクシングをやること、あれは素盞嗚尊の系統です。「ヒ」は引くと言うので求心的なんです。徳によって慕って集まってくるというのが、火の系統の性格です。征服して覇道的にやることが、月の系統です。いままでは月の系統のやり方ですね。今度は昼間の火の系統の働きになり、引きつけるのです。天孫系のほうは、だいたい火の系統なんです。引く系統なんです。日本の天皇は、引くほうの系統です。だから二〇〇〇年も続いている。「ツキ」のほうだとなかなかそうは続かない。

 物事を決めようとする……そういういままでの考え方や説き方は……だからいけない。決めないのです。経緯結ぶというので、千変万化で、両方が必要であって、両方のどっちかではいけない。突くほうもあれば、引くほうもある。根本は引くほうでなければならない。それが伊都能売の働きなんです。悪の世の時代と、五六七の世の時代とは違う。月の時代に引くと負けるが、いまのようになればいい。

  『信仰雑話』時代に説いたことと、『天国の福音』時代に説いたのは、やっぱり違うんです。既成宗教が明かさなかったというのは、明かせなかったのです。医学に対しても、以前は加減して書いた。徹底しない憾みがあった。もっとも、吹けば飛ぶようでは強いことは言えないが、こっちに力が出てからは、これは本当かもしれないと言うことになる。ヒョロヒョロしているのに、真理とか言うと気違いだ、と言うことになる。やはり応身の働きです。教えを説く場合、相手にとって、とんでもなく外れてしまうことがある。甘い物が好きな人に、辛い物を食え食えと言うようなものでね。

 〔 質問者 〕食え食えと言うくらいでなく、口をこじ開けて入れる者もおりますので。

【 明主様 】 そうです。酒の好きな者に甘い物を食わせる。動作を見て、好きか、嫌いか見なければならない。自分がおいしいと思う物は、人もおいしいと思ってね。相撲の好きな人に向かって、野球の話をするようなものです。

「『御垂示録』六号、岡田茂吉全集講話篇第四巻」 昭和26年05月01日