昭和二十五年一月二十日 講話(29) 光録16

〔 質問者 〕産前産後について注意すべきことをお伺い申し上げます。

 産前はあまり注意すべきことはありませんね。ま、上に手を上げると流産することがありますが、これは昔から言われてますね。それから転ぶと胞が首に巻くって言いますが、おなかが大きくなると重心がとれなくなって転ぶんですね。ただちょっと転ぶだけならいいけど、梯子段から落っこちたりするのはいけませんね。それから仕事はふつうにやってればいいですよ。あまり大事にしすぎないようにして産月まで働くことですね。お百姓の人なんか産むまで働いてますね。そのほうがお産が軽くてすむんですよ。

 産後は大いに注意すべきですね。産後、古血が出きらぬうちはあまり動いちゃいけません。最近は産後氷で冷やすことをしますがこんなことも間違いです。産後の出血は決して止めてはいけないんです。そして産後、殊に一週間くらいはなにかするとそこへ古血が寄りますからね、歩くと足や腰へ寄るし、眼を使えば眼が悪くなるし、産後眼を悪くしたのは一生治らないってよく言いますね。それからいろいろと心配すると頭へ古血が集まるんです。産後に精神病になりやすいのはそのためですね。だから、出血しきるまでは安静にして、それ以後は出血を見ながら動いたらいいんです。まあ、一週間くらいの間は便所に行くくらいにして、三週間くらいまでは体をかばいながら動いて、だいたい三週間で出血は止まりますからね、そういうふうに出血と運動と睨み合わせてすればいいんです。出血が止んだらだいたいふつうの通りにし、七五日経ったら完全に本式にしたらいいんです。ちょっと妙な話ですが、夫婦生活も三五日間はいけませんよ、恢復が遅れますからね。三五日過ぎたら、まあ加減しいしい (笑声)したらいいでしょう。
  

〔 質問者 〕七五日以後は差し支えないでしょうか。

 ええ、七五日経ったらふつうでいいですね。
  

〔 質問者 〕食物はいかがでしょうか。

 食物はなんでもいいですよ。
  

〔 質問者 〕入浴はいかがでしょうか。

 入浴も出血の具合で入ればいいんです。ふつうは入浴すると出血するんで怖がりますが、いま言ったように本当は出血していいんです。けれども、まあ三週間くらい経ってからボツボツ入浴したらいいでしょうね。
  

〔 質問者 〕梅干や砂糖はいけないと申しますが……

 そんなことありませんよ。けどたくさん食べちゃ食欲がなくなりますがね。やはり軽いものがいいですね、しつっこいのはもたれますから。それから白粥に梅干がいいってよく言いますけど、これはよくありませんね。

「『御光話録』十六号、岡田茂吉全集講話篇第二巻p」 昭和25年01月20日