昭和二十四年三月二十三日 御講話(3) 光録05

〔 質問者 〕大人の睡眠時間はだいたいどれくらいが適当でしょうか。

 これは医学の言う通りですよ、ちょっとは違いがありますが。赤ん坊なんかは充分睡眠をとるのがいいんで一〇時間から一二時間、青年から中年にかけては八時間くらい、五〇歳を過ぎれば七時間、六時間から五時間でいいんです。私はいま五時間がちょうどいいですね。それからさらに高齢になるとともに四時間、三時間と縮めていいわけです。医学では睡眠不足はいけないと言いますがね、あれは嘘で、むしろ睡眠不足のほうがいいですよ。私は努めて不足するようにしてますがね。睡眠時間が足りないとね、それだけ活動する時間が多いですからそれだけ健康になるんです。睡眠不足はとても悪くて肺結核の主要原因だなんて言いますがね、あれは間違いですよ。肺結核の一番少ないのは花柳界です。ところが花柳界ってのは一番睡眠不足でしかも一番不規則な生活をやってるんですからね。睡眠時間を少なくすることが結核をなくする実際の結果になってるんです。

 エジソンなんかもね、研究室に入ると一週間くらいはほとんど不眠不休でね、食事も日本で言えばおむすび……まあサンドイッチなんかを入れてもらって、それを食べながら研究したそうですが、所員が「エジソンは特別な人だからできるんだ」と言ったところがエジソンは「いやお前たちだって馴れればできるんだ」って言うもんだからやってみたところ、最初は辛かったけれどもだれもできるようになったって言われますが、これは有名な話ですね。だから睡眠不足が悪いってことは迷信ですよ。睡眠不足だと翌日だるいのは昨夜は睡眠が不足だった、という暗示を与えられているからそうなるんですよ。
   

〔 質問者 〕でも、大先生様は特別でしょうが、私どもは……

 いや、大先生は特別だって言うのがそもそもいけない。私の霊は特別ですよ、霊は特別だが、体はみんなと同じですよ。その代わり私はこうしてても三分か五分くらい居眠りしますがね。そうするとはっきりしますよ。字なんか書いていてもこうやって居眠りしてしまうんです。ときどき筆に墨を含めたまま眠ったりしますが、そういうときは井上さんなんか困ってしまうんです。(笑声) 電車に乗って腰かけたままでもよく眠りましたし、それよりか吊革にぶら下がったままでも眠ったもんです。以前、イギリスのグラッドストーンが、椅子に腰かけたまま五分くらいずつちょいちょい眠るという逸話を聞きましたが、あれなんかも特別なんじゃなくてあたりまえなんですよ。

「『御光話録』五号、岡田茂吉全集講話篇第二巻」 昭和24年03月23日