昭和二十三年十二月二十八日御講話(7) 光録02

〔 質問者 〕慈悲は正義の裏づけが必要と存じますが、左の項目において慈悲と正義との関連につき御指示をお願い申し上げます。

 キリストの「人若し汝の右の頬を打たば左をも向けよ」との無抵抗主義に……

 これはいいでしょう、これくらいの心持ちなら間違いはない。これがいいんだがなかなかできないんですよ。大本教祖の出口なお刀自は人が金を貸してくれと言えばすぐに貸してやる。先方が借金を返す人かどうかには頓着せず、また金を貸したことも忘れてしまう人でした。しかしこんなことは現実問題としては無理です。個人ならまだいいが、殊に国家の間では成り立たない。領土を半分とられて、「ではこっちも差し上げます」……というわけには行きませんから。だから、キリストが言ったような心持ちでいて、臨機応変にやって行けばよろしい。戦時中、滅私奉公ということがよく言われたが、これは・で、私を滅してしまってはオジャンです。滅するのではなくぎせいにするのならいいですが……

「『御光話録』二号、岡田茂吉全集講話篇第一巻」 昭和24年01月08日