昭和二十三年十二月一日 御講話(8) 地天01

 〔 質問者 〕自由主義の本義について。

 自由主義といっても無軌道な自由主義ではいけない。自由主義には有限自由主義と無限自由主義とがある。無限自由とはなんでもかでも自分の自由にするという悪性的のものであり、有限自由はある範囲があって、その枠を越えないことでこれが本当の正しい自由主義である。

 故に無限自由主義によって破滅した人は古来その例に乏しくない。

 そうして自由と運命とはよく似ている。例えば秀吉は日本で関白になるのが運命の限度であった。朝鮮出兵をしたのはその限度を破ったことになる。ヒトラーでもドイツだけ治めていればよかった。ドイツの統治が彼の運命の限度であった。これもその運命を突き破って滅びた。大本教の出口王仁三郎氏のごときもやはり運命を突き破ろうとしたために失敗したが、それがなければ今はすばらしいものになっていたであろう。ナポレオンのごときも「わが辞書に不可能の文字なし」などとうぬぼれの極、大失敗した。徳川家康などはその分をよく知っていたから長く続いたのである。人は自分をよく見究めなくてはならない。人間は調子よくゆくと慢心する結果、運命を破るのである。日本も軍閥時代は個人の有限自由までも圧迫した。それがアメリカの手により開放されたしだいである。故に真の自由主義とは、他人の自由を尊重し合うことである。

「『地上天国』創刊号、岡田茂吉全集講話篇第一巻p」 昭和23年12月01日