〔 質問者 〕明主様の自然農法の御論説を拝見しまして、非常に感激いたしました。(『毎日新聞』木村氏)
【 明主様 】みんな間違ったことをやっているのです。もっとも世間が間違わなかったら、メシヤ教が出る隙がないから、間違っているということも、いまのところはこっちが発展する上において大いに良いかもしれないが、しかし間違っている点があまりに多過ぎるので、こっちが非常に骨が折れるのです。
いま私が書いているのは、「名人の失くなった理由」というのです。一番初めは劇界から書いてます。歌舞伎界の偉い俳優は次々と死んでしまいますが、これはどういうわけかということです。いま、頭株は吉右衛門、猿之助、三津五郎の三人でしょう。ところが吉右衛門は危ないというのです。それから三津五郎もいつか分からないとすると、猿之助一人です。前と比べたらてんで話にならない。ところが以前は多士彩々たるものでずいぶんいました。それに上手です。それから画家の名人が、いまはないのです。よく道具屋が「明主様は現代の画家の方はお気にいらないのですか」と言うのです。そんなことはない、私は買いたいが金を出して買おうという絵がないから買わないのです。昔の絵と比べてみても、てんで手が出ない。どういうわけかと言うから、下手過ぎると言うのです。絵をみると病人の絵のようです。みんな弱っている。どこに原因があるかというと医学にあるのです。松竹会社は医者のほうはとても行き届いているので、ちょっと悪いと博士が飛んで来て、機械から薬から実に完備しているのです。頼まなくても医者が始終来るのです。それで医者の手にかかれば、体が弱って死ぬというわけです。菊五郎なども医者がつききりでした。死ぬ少し前には自分で注射していたのです。ずいぶんとそれを知らせようと思っていろいろしてやって、結局死ぬ一、二年前ですが、教修を受けるということになったが、岡田大先生直接なら受けるが、弟子なら嫌だと言うので、こっちも絶対にそうはいかない、弟子でなければ駄目だというので、ずいぶんわがままを通そうとしたが、神様のほうは人間のわがままは、どんな偉い人でもそうはいかないから、結局ああいうことになったのです。だから俳優が死ぬというのはそれです。それから画家が少し有名になると体を大事にする。だから安田靫彦さんはまるで医者がつききりです。医者の言う通りで年中フラフラしてます。だから靫彦さんや古径さんの画いた絵は、病人の画いた絵のようで、そこに迫力がないのです。それで結局一番の原因は、種痘のために人間の毒素排除を止めているから、それで体が弱ったのです。日本もそうですが、外国もそうです。外国にも名人というのはありません。いま音楽で名曲と言えば、一〇〇年から二〇〇年前のものです。たいてい一〇〇年前です。シューベルト、ベートーヴェン、バッハという名曲を作る名人は、みんな一〇〇年以上前です。だから近来は、西洋音楽の良い作曲家が出ないのです。ドビュッシーくらいでしょう。しかし私はドビュッシーは少しもおもしろくないのです。結局種痘ができてから名人がなくなったのです。名人を出すには種痘をやめなければ駄目です。日本でもそうです。長唄の小三郎師が来ますが、名曲はいまもってやはり一〇〇年かその前のものです。明治以後の名曲というものは、ほとんどないと言っても良いくらいです。というのは気にいるまでの曲を作るという根気がなくなったのです。いい加減なところでやめてしまうのです。それは経済的の理由もありますが、しかし第一番は人間の体が弱ったことです。そういう点を言って、だんだん分からせることです。それで本当言うと『アメリカを救う』という本も、そういったことが骨子になってます。
この間もヨーロッパから帰ってきた人の話を聞くと、英国人でも仏国人でも、まるで活気というものがないそうです。ただ安楽に食ってさえいれば良いというようで、実に元気がないそうです。そこでそれを狙ったのが社会主義なのです。社会主義というのは、働く奴と怠ける奴との差別をあんまりつけないのです。ですから英国は社会主義の理想的な国になってます。障害保険とか失業保険とか、生産分配にしろ、そういうことは実に完備してます。それで優勝劣敗がないから、だんだん国がおとろえていくのです。米国や日本は種痘が遅いからまだ活気があるが、もう五〇年一〇〇年と経つと、英仏のように、ただ無為に食っているという人間ばかりになります。また私がこれはいかんなと思ったのは、中共政府ができて英国が一番先に承認したが、ああいうことは決してあるはずはないことだが、これは英国が共産主義に屈服するようなものです。暴力者に屈服するようなものです。さすがに米国はがんとして、いまもって認めないのです。ああいうことはやっぱり英国などは戦争が恐ろしくて、正義というか、国際正義というものがなくなっているのです。それで香港の貿易を失うのが一番怖くて承認したのです。
ところで米国、ソ連、日本というのは種痘が遅いのです。年数は約半分ぐらいでしょう。日本は明治になってからです。ソ連も非常に遅いのです。スターリンになってからですから一番遅いかもしれません。そういう国だけに元気があるのです。だからここで世界中に早く分からせないと、世界中の人間は半世紀後にはまるでヒョロヒョロになってしまいます。それで「世界救世教」といって、世界を救うというのです。