岡田先生療術下(三) 【食道疾患】

 食道癌

 食道癌に就てお話致します。

 これは実に厄介な病気で、肋骨の為に患部を指で触る事が出来ないから、位置が判り難いので、治療が困難であります。しかも吾々の方へ来る頃は極端に衰弱しているから、とても難しいので、従而、食道癌は請合えないのであります。

 原因としては、食道付近に水膿溜結し、食道を圧迫するので、症状は食べた物が閊える。末期には全然食物が通らなくなり、水を飲んでも吐くようになるのであります。極悪質のものは、食道の一部に穿孔されて、そこから飲んだ水が、気管へ滲出して非常に噎るのであります。

 食道狭窄

 食道狭窄というのがありますが、之は大体癌と同じようで、ただ狭窄の方が癌よりも緩慢に食道を圧迫しているのであります。これも早期ならば治癒しますが、末期は困難であります。

「『岡田先生療病術講義録 下巻(三)』,岡田茂吉全集著述篇第二巻p297」