岡田先生療術上(一) 【序言】

 本講義は、
 岡田先生が、拾数年間--数千人に及ぶ--凡ゆる病者に接せられし、其治療上の実験と研究とを基礎として、終に「空前の霊療術」なるものを創成さるゝに到った--それの成果であります。

 此療病術たるや、凡ゆる病者に対して其「病原の適確なる発見」と、その「治病能力の卓越せる事」は、真に驚歎に価するのであります。されば、その御苦心の結晶ともいうべきものを僅々十二回の講座によって習得し得らるゝのですから、至幸此上もないのであります。

 本講座に説述されたる処のものは--

 現代医学の所説と相反する点多々あるのでありますから、之を今日一般に対し主張する事は困難であります。何となれば--

 現在としては、「西洋医学を基本」として保健機構が成立されているからであります。故に治療士としても本所説を以て臨む時は「医療妨害」の懸念を生ずる訳なれば、本所説は一つの参考として認識されたいのであります。

 従而、治療士としてはどこ迄も「医療の補助行為」に甘んじ、医療の妨害にならざるよう、細心の注意を払い、現行法規に抵触せざるよう戒意する事が、肝要であります。

 本講座は、昭和拾一年七月中、十二回に亙っての御講義でありますが、便宜上--「上中下三巻」として編輯したのであります。

 本筆録は、治療士用として、其目的の為に編纂されたものであります。

「岡田茂吉全集著述篇第二巻p154」