この病は、梅毒と似てはおりますが、全然異って善性であります。
症状は、不純な性交後二、三日にして疳瘡を発生し、次に横痃(おうげん)を発生するのでありますが、それだけで、それ以上に進行しないのが特色でありますから、梅毒の如な心配はないのであります。そうして疳瘡も横痃も必ず痛みがあり、柔軟性であります。
本療法を行えば、短時日に容易に治癒するのであります。しかし、梅毒即ち硬性下疳と軟性下疳と併発する事がよくあるから注意を要するのであります。
前述の如く、硬性下疳と軟性下疳との区別を明かにした医学の功績は、賞讃に価いすると思うのであります。
右二種の病共、最初は多少の発熱を見るのであります。
治療は、軽症で一、二週間位--重症で一ケ月位であります。
「『岡田先生療病術講義録 下巻(四)』,岡田茂吉全集著述篇第二巻p312」