岡田先生療術上(二) 【風邪】

 それで、霊体が始終浄化作用をされるに従って、その曇即ち毒素が、何れかの部分に集注されて体外へ排除されようとする。それでその「毒素の集注個所」は一定しておりませんが大部分は「頚部」へ集るのであります。

 何故、頚部付近へ集溜されるか--というと、それは、人体の重要機関の多くが、頚部以上にある関係上、神経を使用する個所へ膿血は集溜する性質のものであるからであります。

 でありますから、この毒素即ち膿結の大部分は、耳下腺、淋巴腺、扁桃腺、肩部等へ集溜します。

 そうして水膿なるものは「時の経過」によって「凝結」するものであります。

 然るに、人体の自然作用は、これ等水膿溜結を、最簡易巧妙なる手段を以て排除するのであって、それが彼の風邪であります。

 実に「風邪」こそは、天の与えた、最簡便なる浄化作用であります。

 そうして、如何なる手段方法で浄化するかというと、先ず凝結した水膿を排除に容易ならしむる為に、発熱という溶解法を行うのであります。

 故に、発熱こそ実に、“浄化作用の最重要なる前線的役目”であります。

 その溶解された物質が、喀痰や鼻汁であり、それが口や鼻孔から排除されるのであります。

 ですから、風邪を引いて熱が出る、之ほど結構な事はないのであります。

 そういう結構な浄化力を人間は有っているのであります。

 又、風邪によらない場合、扁桃腺へ集溜して排除される事もあります。ですから、扁桃腺というものは大いに必要なのであります。

 水膿が一旦扁桃腺に集溜すると、それを溶かす為に熱が出る。この熱を解熱剤や氷冷等によって冷すから、膿は溶解し損ねて固まってしまうのであります。これが扁桃腺肥大の原因であります。

 扁桃腺肥大は切らなければいけないというのですが、それは解熱法によって作られたものであります。昔は、扁桃腺肥大症などという病気は無かったに違いないのであります。これは明かに、解熱法が出来てからだと思うのであります。

「『岡田先生療病術講義録 上巻(二)』,岡田茂吉全集著述篇第二巻p188」