アデノイド
これは、鼻と喉の間に「腫物」が出来る。
これは外の方から、鼻と喉の間あたりの見当をつけて治療すれば治ります。
ほとんど子供の病気ですが、うっちゃっておいても成人するに従い治るのであります。
扁桃腺炎
扁桃腺は、外の方から指触すれば直に腫が判るので、診査は極容易であります。
よくルゴールという薬で焼くがこれは面白くないようです。
この療法は、私も昔随分やられましたが、反って長びいて慢性になりやすいのであります。焼く為に一週間も二週間もかかります。
私は焼かなくなってから二、三日で治るようになったのであります。
扁桃腺肥大症
扁桃腺の起った時に解熱法を行う。その為に膿が固結するのであります。これは最初の項目で詳説してあるから略します。
「耳下腺炎」も「淋巴腺炎」も前同断ですから略します。
頸部付近に水膿溜結の場合、解熱したり、電気をかけたりすると固まってしまうので、その為又隣部へ出来て段々殖える事がよくあるのであります。
最初一個所脹れた場合に、放置しておけば、その一個所へ膿が集溜し、充分脹れてついにブラ下る位になって、そして小さな孔があいて、膿が出て綺麗に治るんであります。
以前、私が扱った患者でこういうのがありました。
最初耳下腺付近に脹が出来たので、盛んに氷で冷した。すると、その部分は脹れ切れずに固まったので、病院へ入院した。
すると今度は、反対の側の方へも腫が出来た。それをも氷で冷し、次々出来ては氷冷して、次から次へ出来た腫物を悉く固めてしまった。するとその為に膿がその部へ集溜されなくなるから、段々下の方へ溜るようになって、終に肺気腫が起りそうになったのであります。
医師は驚いて、生命が危険だというので、切開して膿を出したが、それも一時小康を得ただけで今度は、外部へ集溜されなくなった膿は、止むなく内部--即ち口内から咽喉部へ溜って、終に咽喉が塞がり、呼吸困難になって死んだのであります。
死の一ケ月ばかり前に私の所へ来たのでありますが、私の方でいくら溶いても「氷で固めてある為」と「衰弱の為」に浄化力が起らないので、どうする事も出来なかったのでありました。
この患者など、最初から何等手当をせず、 放任しておいたなら、 順調に治って生命を完うしたろうに--と思って実に残念
喉頭結核
この病気は声を使う人に多いので、最初、顎下腺から扁桃腺付近に膿が溜り、漸次深部へ拡大し、咽喉部にまで移行するので、その為に声が嗄れるのであります。
段々進むに従って、食物を嚥むのにも困難になり、水も飲めなくなって、衰弱して仆れる(たおれる)のであります。ちょうど喉へおデキが出来て、そして、その『おデキ』の頭へ物が触れるように痛むのであります。
これは本療法によれば順調に治ります。
然し余り衰弱し過ぎているのは困難ですが、「歩ける位の程度」だったら必ず治るんであります。
軽症で一ケ月、重症で三ケ月位で全治致します。
声嗄れ
喉頭結核でなくて、声の嗄れてる人がよくありますが、これは「喉頭結核の手前」位のものです。
これは、耳下腺から淋巴腺付近に溜結している毒素が溶けて、常に滲み出て、発声機器能を刺戟する為、腫れて運動不能になるからで--
これは、それを溶解する事によって、容易に治るのであります。
軽症で二週間位、重症で一ケ月位であります。
喉頭癌
これは、水膿溜結の頑固性のもので--
外部から指頭で触れば、扁桃腺の如く明瞭に判るのであります。
そうして、順調に治癒するのであります。
軽症で二、三週間、重症で一、二ケ月位かかります。
喉頭癌と喉頭結核との区別は--
結核の方は喉全体に渡りますが、癌の方は一局部に出来る固結であります。
バセドー氏病
喉の下に「甲状腺」というのがある。そこへ水膿が溜結するので--
一見、喉の中央が出張っているのであります。又この病気の人は、全体的に見ても喉が太いのであります。
普通、甲状腺が脹れる--といいますが、私の観る処では--甲状腺の外部に水膿が溜結するのであります。
バセドーという人が発見した病気ですが、病が進むと眼が飛出るのが特徴で「眼の大きい人」に多いようであります。
そうして、悪化すると心臓を頗る悪くする。その結果「脈搏不整正」又は結滞を来すのであります。
普通は、治りいい病気であります。
「妊娠すると危険だ」--といって、人工流産させますが、私の経験上、そんな憂はないと思うのであります。
水 癌
これは実に恐ろしい病気ですが、滅多にない病気であります。
最初は、口辺に黒い物がプッと出来、迅速に悪化して孔があき、頬の肉が、大きいのは鶏卵大にも欠除してしまうので、その結果、口中全部が露出する。歯や舌など全部見えるのであります。実に物凄く正視出来ない位で、横からみますと、上図のようになります。