岡田先生療術下(二) 【上体の下部 歯疾患】

 歯痛の原因としては--
 (一)は、歯根膜炎で、「歯の根」に膿が溜るもの。
 (二)は、歯神経の痛むもの--との二種であります。

 本療法で、非常によく治るんであります。

 歯痛を治療する場合は--
 まず最初に「上歯が痛むか、下歯が痛むか」を訊き、その部を外から治療するのであります。
 これは水膿が「歯の根」へ集溜する。その膿が外部へ排泄されようとして骨膜を穿孔する。それが「激痛」なのであります。
 故に、穿孔されれば痛みは軽減しますが、膿が外部へ出た為に「頬が脹れる」のであります。

 治療
 本療法を施せば速かに治るので、しかも根本的であります。
 触るると痛い場合は、触れなくとも治ります。触れるか触れぬか位にして擦り、そうして吹けばよい--それで実によく治るのであります。

 もう一つの歯神経の痛むのは--
 歯に腐蝕が出来た為に、神経が露出する。それへ冷水や湯茶等が滲みて痛むのであります。これは歯医者へ行って神経を殺してもらうのが一番速く治るのであります。

 よく歯がブラブラして、抜こうかどうしようかと迷う人がありますが、それは歯の根に膿が溜っているので、浄化すれば、根が締って治るのであります。

 歯槽膿漏
 これは、歯根から血膿が出るのですから--「軽い歯槽膿漏」は誰でもある訳であります。
 これも右か左か、どっちかが余計出るものであります。
 世間では恐るべき病気とされており、中には「梅毒」だなどというのもありますが、そんな事はないのであります。
 上顎か下顎の辺を外部からおしてみると、痛い所があるので、そこに水膿や汚血が溜結しているから
--そこを浄化すると共に、頚腺部等又は顔面特に頬の辺に痛む個所が必ずあるもので、その個所を浄化すれば、水膿は溶けて治るのであります。

 治療は、普通二、三週間、重症で一、二ケ月を要します。

「『岡田先生療病術講義録 下巻(二)』,岡田茂吉全集著述篇第二巻p260」