この病気は、顔面の神経麻痺で症状はいろいろありますが、普通の症状としては、顔の半面又は口形が一方へ引吊るように曲り、甚だ醜いのであります。
これは、顔面諸所を圧すと必ず痛む所があります。その個所に水膿溜結しているから、それを溶解すれば漸次治るのであります。原因は、頚腺や肩部に水膿が溜結し、それが顔面にまで移行するのであります。
この図は、昨年暮にやった婦人患者で、顔面屈折し、二目と正視出来ない醜さでしたが、非常に早く、二ケ月半位で全快したのであります。
この患者は、専門家から治っても二ケ年かかると言われたのであります。
しかし、発病後早期であったので、速く治ったのですが、年月を経て固まったのは迚も日数がかかるのであります。且つ病気は治っても、顔面に癖が着いているので、それは自然を待たなければならぬから--相当時日を要するので、長いのは二、三年位かかるのであります。
(昭和十一年七月)
「『岡田先生療病術講義録 下巻(一)』,岡田茂吉全集著述篇第二巻p258」