新日本医術書 【健康と弱体】

 病気そのものは、人体の浄化作用であるとすれば、健康であればある程浄化力は旺盛である訳である。言い換えれば、健康が病気を発生させるとも言えるのである。
 そもそも、人体の健康を大別して、四種を挙げてみる。まず第一種に属する人から説明してみる。人体内には何人といえども毒素の無い者は無いので、加うるに、日々多少の毒素を追増しつつあり、それが一定量を越える時、自然浄化力に由って排泄する。その過程が病気発生である事は、最初に述べた通りである。故に、最も健康な者程浄化力が旺盛であるから、毒素が一定量に達しない時、速くも排除工作が始まるので、それは軽微の風邪、又は下痢等で済んでしまうのである。

 しかるに、第二種に属する健康者は、浄化力が幾分薄弱であるから、毒素が相当量に達する迄は、普通健康を保っているのであるから、いよいよ病気発生の場合は、軽症でないのも止むを得ないのである。

 次の第三種に属する人は、かなり弱体者であるので、毒素が多量に堆積しても、浄化力不足の為、病気発生迄には至らないのである。世には常に薬餌に親しみつつ重患にもならず、顔面蒼白にして、殆んど生ける屍の如き生活をしている者がよくあるが、これ等は大方この症状である。次に第四種に属する人であるが、これは平常頗る健康であるにかかわらず、急死する症状で、その致命症は殆んど脳溢血である。これはいかなる訳かというに、毒血多量の為浄化力は薄弱であるが、各機器能が健康なのである。故に毒素に対する抵抗力が強い為、健康そうに見えるのであるが、いか程抵抗力が強くとも、ある一定量に達した毒血は、排除されなければならない。しかるに、その毒血排除口として、脳以外の器能は強健であるから、止むなく毒血は脳へ向って排除されようとする。それが脳溢血となるのである。この様な人は、如し脳以外の器能、例えば胃腸等が弱ければ、それへ毒血が集溜するから、常に不健康ではあるが、急死は免かれ、寿齢は幾分延長する事になる訳である。

「『新日本医術書』,岡田茂吉全集著述篇第二巻p100」 昭和11年04月13日