龍神の救い(一)

 今度奈良に行った事は、奈良に、神様、仏様の霊が一番沢山居るのです。まあ日本では、奈良に集中されていると言ってよいくらいな所なのです。それがみんな龍神になっているのです。それで龍神が、元の神、仏・・・と言ったところで、一旦は人間に生まれたもので、それが龍神界に落ちたものですが、それで、私の光を受けると、罪穢れが取れますから、そこで龍神が出世するわけです。

 そのために、非常に来てもらいたがっているのです。それで行ったわけなのです。ですから、天気都合なども、神秘的にうまくいったわけです。朝早く行く時には、随分ひどい雨でしたが、奈良に着く三十分ぐらい前から、晴れて来て、日が当たったくらいです。それが済んでから、奈良ホテルに帰って休んでいる内に、又降って来たようなわけで、丁度龍神さんが、このとおり、一生懸命に御迎えした、働いた、ということが、分かるようにしたわけです。

 そういうわけで、奈良の公会堂で講演した時に集まったのが三千三百だったのですが、公会堂は二千人ぐらいで一ぱいで、千人ぐらいは庭に一ぱい溢れていたのです。ですから、もし雨が降ったら大変な事だったのですが、丁度少し前から晴れたので、庭も乾いて、実にうまくいったわけです。

 そういうわけで、奈良の一番の目的の所は、山奥で、室生寺で、十六里ぐらいですが、一番最初、そこの龍神が出て来て、今度お出でになるので、方々をきれいに掃除をしておく、清めておく、というわけだったのですが、それから大きな山火事があり、なんでも何百町歩か焼けて、損害が六億というのですから随分大きなものです。それで何ヵ所もあったのだそうです。焼かれた人には気の毒ですが、それも一つのお浄めの手段です。

 室生寺に行った時も、そこの住職の人で、大和の長谷寺なども、自分が監督しているというわけで、真言宗の豊山派の方では、一番偉い人です。丁度、先方でも、是非会いたいというわけで、どこかに出張していたのが、そのために帰って来た、という話しをしてました。

 それから、龍神を祀ってある所を聞いてみたところ、丁度室生寺の横の方に山があって、そこに祀ってあるのです。「善女龍王」というのです。つまりそこの龍神さんの偉い方です。やっぱり有名な大きな寺を護っているのは、龍神さんの中でも、やはりそれだけの資格があるわけです。なんでもその龍神さんは、雨乞か何かで、室生寺の開祖みたいな者が、他の者と雨乞を争って、勝ったというのですが、勝ったというのは、その龍神さんが働いたのでしょう。

 龍神というのは、非常に、つまり厳しいのです。そのために、自分に頼む人間とかそういうものが、自分よりか位が上でないと、言う事をきかないのです。雨乞などで、非常に御利益があったというについては、幾ら大勢が拝んでも御利益がない場合がありますが、それは幾ら人間が拝もうと。神格のある人が居ないときかないのです。一人でも、自分以上の人が頼めば、言う事をきかないわけにはゆかない、というわけで、そういう事は、階級によって、非常にキチンとしてます。特に龍神界は、それが甚だしいのです。

「御教え集第33号」 昭和29年4月15日

御教え集