立春の御歌 光録04

きびしかりし冬の寒さにとばりしていと大らかに春は来にけり

寒桜早や散り初めてあたゝかき湯の町熱海に春は立ちけり

白梅の梢にあたる日先にもそれと知られて春立ちそめぬ

永かりし冬の寒さも春立ちて花咲き百鳥歌ふ時来ぬ

冬過ぎて立つ春の如吾業も花咲き匂ふ時となりぬる

梅が香の匂ふ庭辺に吾立ちて春立つ今日の思ひ深しも

梓弓春立つ今日のうれしさよ誠の人たち集ふこの宵

立つ春を祝ふこの宵電灯の灯かげに映ゆる人々の面

「『御光話録』四号、岡田茂吉全集講話篇第二巻p40」